▼ 保護対象
ヤミヤミの実は、無事にサッチのお腹の中に収まった。これで消化前に腹を掻っ捌かれさえしなければ
サッチが落ち着いた頃合を見計らっていた友人が、ウズウズと好奇心を抑え切れていない満面の笑顔でサッチに飛び掛る。比喩だ
「で?で!?本物の能力見せてくださいよ!」
「食べたばっかりで使いこなせねぇよ!」
「じゃあまた後で見せてもらいますね」
「せっかちさんだな…!」
ポテチの美味さにハマったサッチがナマエの手の隙間から袋に手を突っ込んでどんどんポテチを消費していくのを横目に見ながら、ナマエは次に疑問だったことを口に出す
「で、サッチはいつワンピースの世界に帰れるんだよ」
「……その内じゃない?」
「オタク界ではどうなってんだ?」
「曖昧だよね。うやむや」
「ハッキリしねぇなあ!」
口の周り塩だらけにしてるオッサンに怒られましても
「じゃあその"いつか"まで、サッチはどこに保護しておくんですかー」
「え、そんなのナマエん家に決まってるじゃない」
「なんでオレだし」
「一番最初にサッチさんがいたのって、ナマエの家なんだよね?」
「ああ!広くて質素な家だった!」
「トリップしてきた人の面倒を看るのはね、第一発見者って相場が決まってんだよ」
「はー?やだやだやだってーこんな怪しいオッサン匿えねぇってー」
「うおおおおナマエ君、オッサンを見捨てないでくれええええ」
「おぶっ」
抱きつかれた。オッサンに。何これ未だかつてなかった他人との触れ合いだ。その相手が同性の年上って。なにこれ不愉快
「なあ、サッチってキャラはこんなめんどくさい性格なのか」
「僕だってよくは知らないよ、三コマしか出てないキャラなのに。
女のファンなら、色々二次設定してるんじゃないの?」
「知らない世界だ」
「設定?おれの性格ってそんな十人十色な感じなのか!?」
「自分を強く持ってくださいねサッチさん」
「お、おう!!!」
「元気いっぱいだな。離れて」
「じゃあオッサンを見捨てないで!」
「絶対親に猛反対喰らうって……」
「修羅場ってますなぁイケメンめ。爆発するの?」
「しねーよ」
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