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今日も人魚の機嫌は芳しくないようだ。何がそんなに不満なのか、クザンが部屋に来た時はすでにご立腹状態だった。機嫌を損ねないように…と、昨日ナマエから散々言われた"年頃の女の子は豆腐を扱うように優しく接しろ"を復唱する。とてもめんどくさい




「あー……おはよう人魚さん」
「………オハヨウ」
「何をそんなにプスプスしてるんデスカ?」
「……別に。寝不足なだけ」




あらら、取り付く島もないね。まあしょうがない。初対面があんな酷い感じだったのだから。肩の包帯が、華奢な体に痛々しく見えた

ふぅやれやれ、と水槽から離れ執務机に座る。座るが、仕事はしないよだってまだやる気が起きないから。大体はナマエ達部下が来てからよいよ動き出すけど、今この部屋にはオレと人魚さんだけだし
頭に掛けていたアイマスクを下ろして時間まで寝るか、と思っていると、水槽の方からじーーっと視線を感じて手を止める。なんだ一体。めんどくさいが視線の方を見てみれば、案の定人魚さんが何か言いたげに此方を見ている



「………ナニカ?」
「…あなた、寝ちゃうの?」
「そうだけど…問題でもある?」
「…わたし、また1人になるの?つまらない」
「……。」



ああ、なるほど


自分が聡い人間で良かった。どうやらこの人魚さん、さっきから不機嫌なのは、昨日の夜から今日の朝まで、夜通し1人にされていたことが不満だったらしい
この人魚が自分の国でどのようにして暮らしてきたかは知らないが、どうやら少し甘えたがりに育てて来られたようだ

まあ分かったからだからと言って




「おれは何も話すことないよ。つまらない男だから、他を当たってねー」
「今は"つまらない男"以外誰もいないじゃない!ナマエは?まだ来ないの?」
「ナマエはもうちょっとで来るんじゃないの?」
「じゃあ、それまで私の相手してよ!」
「えー……?めんどうだ…………」
「私がこうなった事の当事者でしょ!責任取ってよ!」
「………」



それを言われちゃあ、さあ


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