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今日の報告書:野生の人魚を拾いました。脱走した奴隷ではないっぽいです





「クザンさんもう少し真面目に報告書書いてくれませんかねぇ!ビクビクしながら提出するこっちの身にもなってくださいっすよォ!」と先ほどまで病床で唸っていた筈なのに今日も元気な部下のナマエの小言を無視して、わざわざ野生の人魚を保護すると言う為だけに設えられた巨大水槽の前でクザンはさも面倒くさそうに唸った



「もうっ!いつになったら帰してくれるの!?せまーい!」


「………もうちょっとお淑やかにしてたらどうなの」
「む、何よヒエヒエ男。元はと言えばあなたのせいなのよ!」
「あーあーあーわぁーかってるよ、わーってるからこうやって保護して治療させてあげてんじゃないの。だから静かにしててお願い」



そう、巨大水槽で保護されている若い女の人魚――名前はまだ教えてくれていない――は、小さな事故でこうなってしまったのだ







数日前、遠方の海で討伐任務に出ていたナマエ率いる船団が海王類に襲われ大破したとの報せが入った。一応部下であるし、海王類が蔓延っていると言われたらそちらを討伐しなければならないとクザンに出動要請があったので、船よりコッチの方が早いと『氷河時代』で海面を凍らせ自転車で目的地にまで移動していたのだ。



しかし目的地に着くより前に、途中で見つけてしまったのだ。クザン自身が放った氷河時代により、氷付けにされた人魚と、凍ったまま人魚に抱えられていたナマエを



「…はあ!?」あの時は驚いた。何でこんな所に人魚が、部下が、とか言う前に大変な事態であることは分かったので氷を溶かして人魚と部下を陸に引き上げた。
暫くして意識が回復した人魚が、いの一番にこう言った



「……い、いたい…!」
「!」



酷い凍傷だ。むき出しだった肩と顔が真っ赤になっている。部下の意識はまだ戻らない。大破した船は今駆けつけている他の奴らに任せて、一先ずこの2人をどうにかしなくては
人魚を死なせてしまえば、大問題になる。めんどくさい



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