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▼ あなたの陽だまりが眩しい

「コビー!コビー!どこにおる!」
「は、はい姫様!僕はここです!」
「おおコビー!どこにいておった。ひーは退屈じゃ、散歩にお供せい」
「はい!」



遠征任務で初めて訪れたワノクニのお姫様は、まだ十にも満たない小さな女の子だった
初めて顔を合わせた時、「コビーと申します」「ヘルメッポです」と名乗れば、ヘルメッポの顔を見ながら「愉快!愉快じゃ!」と手を叩いて喜んでいた。
そして僕の顔を見て「むぅ、そちは面白みに欠けるのう。何ぞ面白事をしてみぃ」そんな命令をされたことはなくてどうしたら良いのか分からずあたふたとしてたらズボンの裾を自分の足で踏んづけて無様に前転して顔面からすっ転んだ姿を晒してしまえば姫様のお気に入りになったらしい。「コビー!」と名を呼ばれることが多くなった。ヘルメッポはいじけていたけど。滞在期間はまだあるし、出来る限り、僕の出来ることで姫様を楽しませてさしあげようと思う



「どうじゃコビー。そちがひーの国に来て早7日。この国は気に入ったかえ?」
「はい姫様。ワノクニのことはあまり知りませんでしたが、姫様の国は豊かでとても素晴らしい国ですね」
「じゃろう、そうじゃろう」



豪奢な着物の艶やかさにも負けない、綻ぶような笑顔だ
姫様は自分の国が大好きらしい。僕も大好きだ。気候は暖かく温暖で、花は赤に桃に白と綺麗に咲き乱れ、人々の顔にはいつも笑顔がある。
海の向こうには、こんなにも素敵な国があるんだ。やっぱり、世界は広い



「コビー!あれをせい!」
「はい、あれですね」
「そうじゃ!」



アレとは肩車のこと。姫様は女の子で、女児がはしたない事をしてはならぬと姫様のお父上からきつく咎められてはいるが、姫様が望むなら僕が怒られたって構わない
姫様の前にしゃがみ込み、「どうぞ」と背中を向ける。
嬉々とした様子で背中に飛びついてくる姫様の姿は見えないが、それでも心は晴れやかだった



「良い天気ですね姫様。この国は、いつもこんな晴れ晴れとした天気なのですか?」
「そうじゃ。今のところはの」



本当に温かい。眩しすぎない太陽の光も、全てが好ましい



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