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▼ 説き伏せ悪子

「後は頼んだよモモンガ。しっかり注意しといておくれ」
「了解だ、おつる殿  来いナマエ」
「…ふぇい」
「言葉正しい返事!!」
「はい!!」



やれやれ全く、またお前と来たら問題ばかり


お決まりの口上から入ったモモンガの説教に、ナマエは辟易しながらも聞いている
このままセンゴクのいる部屋に着くまでじっとりと聞かされ続けるモモンガのこの説教をナマエがちゃんと真面目に聞いていないと知られると飛んで来るのは実婆以上に威力のある拳骨だ。それだけは避けたい。モモンガの拳は硬く重い。過去の痛みを思い出して、ナマエはまたブルリと身体を震わせた



「…ちゃんと聞いておるのかナマエ」
「も、勿論です!オレが、モモンガ中将の話を聞かないなんて!そんな在りえないこと!」
「……お前のその真面目な部分は好ましいが、一度言われたことを守れないのが駄目な部分だ」



大体にしてお前はいつもそうだ。初めて私の下に就いた時から態度は良かったがどうにも



お決まりの続き文句から始まるモモンガの説教第二部

モモンガの下に就いてコツコツと実績を上げて来たナマエは、
上司から貰うアドバイスや言葉を素直に受け止め、一心に努力した。
同じく"努力の人"であったモモンガ中将を尊敬してやまないのは本心だし、今も目標にしているのだが

そんなお方に注意されようとも譲れない、引けない部分が一個だけ存在しているのだから仕方が無い



「……しかし、目立った力もつけてない、努力もしてなさそうな格好だけの海兵たちに、自分を笑われるのだけは、どうにも我慢が利かないんです」



悔しそうに唇を噛み締める隣のナマエの表情を窺って、モモンガはやれやれと首を振る



「………それはそうだろう 私とてそんなモノは腹が立つ。
誰も我慢をしろとは言っていない。少しばかり慎めと言っているだけだ」
「同じ意味ですよ、それ」


「……知らない者はいずれ知ろう。 ナマエ、お前は凄い奴だ。私が認めた男だ。だから、もう少し堂々としていればいい。周りの小さい者達の言葉なぞに耳を貸さぬぐらいの気構えをも持ち合わせてみろ。それを遣って退けた時こそ、お前はもっと強くなれる。私も、そしておつる殿もそう信じているんだ」
「……!はいモモンガ中将! やっぱ貴方って人はクソかっけぇーです!!」
「…クソとは、褒め言葉に使ってもいいのか?」
「最上級の賛辞です!」
「そうか。ならいいが、若者の言葉はやはり理解しがたい部分があるな」



大体にして、先ほどのお前の返事もそうだが最近の者達の言葉遣いに問題がある。もっと統率の取れた言葉を口にしてもらいたいものだがしかし



お決まりの愚痴から始まったモモンガの悩みの言葉を聞きながら、ナマエは今モモンガから伝え受けた言葉を己の中で反芻した。何度も何度も



尊敬する人からもらった「自分がもっと強くなれる条件」
やろう。これから、更に努力しよう。いつかモモンガや実婆の隣に立つ男になるために

何度も何度も、飽き足らぬ努力を






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