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▼ 愛してほしいだけなのです





「ナマエー!小腹がすいた!」
「ルフィに小腹なんて器官があったなんて。 いいよ、何か軽いものを作ろうか」
「やったー!」
「おいナマエ ルフィの空腹なんざ無視してイイって」
「明日の仕込みに問題がない程度の量にしておくから」
「でもよ…」
「もし足りなくなったら、また獲ってくるよ  じゃあルフィ、少し待っててね」
「おう!」
「……ちっ」



ナマエのお人好しな性格も困ったものだ。たしかにコックなら、「空腹」を訴える者がいたら何か作ってやりたいのが性分かもしれないけど、ルフィの場合は多少抑えておかないと四六時中空腹で呻っているような奴だぞ。長く一緒に航海を続けてきて、それはナマエだって分かってるクセに、アイツは甘やかす。確かに今ナマエが使ってる食材は、今朝方にナマエが海に潜って仕留めてきたヤツだけど、それとこれとは話が別で。でも「サンジは休んでていいよ。副コックがやるからね」と笑われてしまえば強くは出れない




「おぉー!なんだこれうまそー!」
「簡単にムニエルにしたんだ。 味はどうだい?」
「とうぜんのようにウメー!」
「それは良かった。明日の朝用にも作っておこう」



……あのムニエル、美味そうだな。最近は専らおれがキッチンに立って、ナマエは食糧調達ばかりしていたから、ナマエの料理を食べてないなそう言えば…




「 サンジ、君も食べるかい?」
「―! あ、あぁ、もらう」
「はい」



サンジも食べるかと思って2食分用意してたんだ。そう言っておれの方に皿を寄せてくるナマエは、何でもない風にそんなことをサラリと言う。コイツのこう言うところがムカつく。おれより少し大人だからって、人に対する時の言葉選びとか、気遣いとか、そう言うのが上手くて、謙遜するくせに料理はおれよりウマいし。なんだよ、なんだよ、ナマエなんて、




「…格好良いなクソ」
「え?僕が?」
「他に誰がいるんだよ」
「そう、カッコいいサンジに「格好いい」って言われるのは嬉しいね」
「レディ達からの評判だっていいし、」
「ナミちゃんもロビンからも?なんかむず痒いな」
「他の野郎どもなんかにも、バラティエの客みたいに接するし、」
「どうにも癖が抜けなくて」



おれはナマエに愛されている自信があるのに、それでもこんなに毎日イライラしてしまうのはナマエが他の奴らにも優しくし過ぎるせいだ。昔のおれはお前のそう言う部分にすごく助けられたけど、おれ以外には紳士的なツラ見せないでいい。もったいない。無駄遣いだ。安売りするな。皆に優しくすんなとは言わないけど、お前が甘やかすのはおれだけでいい。

なんて言えるか、こんなスマートじゃないこと。かっこわりぃ




「…サンジ、全部口に出ちゃってたよ」
「はあ!?マジか!!」
「うん、なんか、ゴメンね」
「………もっと他に言うことねぇのか」
「愛してるのは君だけだよサンジ」
「…よし」
「キスしても?」
「許す」




――隣のテーブルにいたルフィもいつの間にか眠りこけていた、深夜1時のキッチンにて






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