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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 返事のない愛に

てしてしてしてしてし

可愛らしい音を立ててナマエの頬を叩いてくるのはドレークの尻尾だ。勿論人間のドレークから直に尻尾が生えているワケではない。悪魔の実の能力・動物系:竜の力で恐竜の姿に成っているドレークの尻尾だ。


海軍時代からの友人で、海賊になった今でも友人として、船長補佐として、ドレークの面倒を微力ながらに看てきてはいるが、ナマエだって自分の時間は大切にしたい派で、たまの休息の時は自分のやりたいことをやりたい訳で、

要するに、わざわざ能力を使い竜の自分の尻尾を用いて背中合わせの背後から、本を読み読書に没頭するナマエの気を引こうと試みているドレークには今は構えないと言うことだ



「……」
「……」てしてしてし
「…… …」
「……」てしてしてしてし
「…」
「……」てしてして「や め な さ い」



何度も頬に刺激を与えてくるドレークの太い尻尾の先を鷲掴む。
ついにナマエから注意を受けたドレークは、首だけ回して掴まれている自分の部位と掴んでいるナマエを見る。その顔は何とも切なさが滲み出ている


「ドレークいい加減にしろ。今おれが本を読んでることぐらい解るだろう」
「……分かる」
「ならちょっかい掛けるのはやめろ。いつもは四六時中俺と顔合わせてるんだから、お前だってたまの暇ぐらい1人になったらどうだ」



掴んでいた尻尾をゆるゆると動かし、ナマエの小さな拘束を抜け、ソレを今度はナマエの身体に巻きつける。
もしもナマエがドレークの敵ならば、絞め殺される危険性を危惧するが、前述の通り2人は友人関係。危害を加えられることはないとは分かっているので、ナマエもドレークのさせたいようにさせている。但し頗る邪魔である



「…1人では何をすればいいかが分からない」
「…何でだよ」
「いつもは戦いだ遠征だ何だと騒がしくして四六時中ナマエの顔を見てるのに、暇があるとお前の顔を見なくなって何だか落ち着かない」
「…おいおい」



それは俺の責任か?と問えば、いや違う、これは俺の内面がまだまだ未熟なせいだ、と真面目な回答が返ってくるのに溜息を吐く



「…とりあえず、何でお前は恐竜の姿で俺の船室に突撃してきた。見ろ、壁がボロボロだ」
「この姿でお前の部屋に私が訪れれば」
「ああ」
「お前は何事だと思うだろう」
「まあな」
「それが狙いだ」
「なるほど」



よく分からん。

よく分からないドレークに、まぁいいかとナマエは思い直し、大人しく背後のドレークの背に背を預ける
ドレークは再度首だけを回してナマエの姿を確認する。背中に出来た温かみにドレークは気を良くしたのか、フリフリと尻尾を降った


「たまの休みまで俺の顔を見たいなんて変な奴だなドレーク」
「そうだろうか。昔からそうだから、今さらどうと言うこともない」
「……まぁ、俺もお前と同じくらい、変な奴だがな」
「 ―― そうか」



身体に回っていた尻尾と背に感じていたザラザラとした感触が消え、柔らかい人肌に変わった。自分よりも少し低い体温で気持ちが良いのだドレークの背は



何年経ったって、それだけは変わらない




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