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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 傍にいないと駄目でした

10日前からナマエの姿が見当たらない。
ガレーラに顔を出さないし、ウォーターセブン復興にも手を貸してないようだし、何より自宅に帰って来ていないからさあどうする。
「まーた他の女んとこに泊まってんじゃないか?」と言ったタイルストンの言葉がパウリーの頭をガンガン揺らす。自分もそうとしか考えられないからだ。現にそんな事は過去あったことだから否定も出来ない。


「…まあ落ち着けパウリー どうせ今回も後からノコノコ帰って来るさ」
「…べつに気にしてなんかねーよ 慣れた」


強がりでも冗談でもなく、慣れてしまったことは本当だ。悲しくもない。そう言うことへの感覚は、とっくの昔に麻痺していた。

しかし、慣れたなれたとは言うが、嫉妬しないわけでは決してない。
どうせ結局、「やっぱり他の女はろくでもない」なんて言いながら戻ってくるのは分かってる。
分かってるから、今回も縛り上げるだけで許してやるから、
早く帰って来いバカナマエ






「パウリーはいるか!?」
「!?」


大声を上げながら作業場入口に姿を見せたのは今の今までパウリーが悪態をついていたナマエだった。
入口付近にいた男たちに何事か話しかけた後、クルリと方向を変え、ズンズンと真っ直ぐに奥のパウリーの元へと歩いて来た。「ナマエ、テメェ今までなに、」いきなりの登場に動揺しまくっているパウリーとは正反対に、10日ぶりのナマエの顔は鬱陶しいぐらい晴れやかだ。
「おいナマエ!まーた女のとこに…」と立ちふさがったタイルストンの巨体を手で退かしたナマエはパウリーの前まで来るとニヤニヤニコニコ笑って、「誕生日おめでとう、パウリー」そう言い手に持っていた箱を手渡した。

まったく事態について行けてないパウリーは押し付けられた箱とナマエが今言った言葉に、「た、誕生日!?祝うって言うのか?今更!?」と素っ頓狂な声をし、目を見開いた



「ちょ、ちょっと待てナマエ 順序よく説明しろ」
「なんだよ 俺のプレゼントが受け取れねーってか。安心しろ、卑猥なモンじゃねーから」
「…じゃ、じゃなく!テメェ、10日もどこの女んとこほっつき歩いてたんだ!」

パウリーがギャンと叫んだことに対してナマエはあっけらかんと答えた

「? 女のとこには今回行ってないぞ?ちょっと船に乗って隣の島までは行ってたけど」
「…え、女じゃ、ねぇのか?」
「まぁー色々訊きたいかもしんないけどさ、良いから箱開けてみろって!」


手を取られ無理やり箱の蓋のところへ持って行かれる
訳が分からずに蓋を開けてみれば、クッション剤に包まれて出て来たのは新品のゴーグルだった


「…ゴーグル、だな」
「前に付けてた奴、割っちまってただろ?だからゴーグル」


前のアクアラグナ時にレンズを破損したゴーグルの代わりにと言うことか

先ほどからナマエが言うように、今日はパウリーの誕生日だ
しかし男であるし年も若くない、こんな現場で祝い事なんか長らくやっていない。こうしてナマエがパウリーの誕生日を祝うのも実に四年ぶりだろうか



「なんで、こんな珍しいこと」
「…いやぁ、CP9とか、海軍とか、色々危ない目に遭っただろ?で、思ったんだ」
「…?」
「パウリーが死んでから、後悔したくねぇなーって」


生きて構ってやれる内に構っておこうと思った。

そう言って笑うナマエから、女のニオイはしない。この手にあるゴーグルも、有名ブランドが手掛けた奴じゃないか。金なしのくせに、どんだけ無理して出したんだか



「…ナマエ」
「なんだ?」

「結構、惚れ直した」
「…だろ?」


「参ったな、また女が寄り付いちまうぜ!」バカ抜かせ。10日も放置してくれたんだ、その仕返しはタップリさせてもらう


「…ナマエ、もう一回言えよ」
「たんじょーび、おめでとーパウリー」
「んだよ、恥ずかしくなったのか?」
「…そう何回も言えばさすがに照れる」



とりあえず、貰ったゴーグルを早速付けることにしよう。「ルル、少し抜けるぜ」「 ああ、ようやく終わったか?何処へでも行って来い」「だがナマエは帰って来たらおれと一緒に資材運びに行くぞ!!」「なんでタイルとなんだよー!」ああ、良かった。ようやくナマエが此処にいる




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