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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 早く愛されちゃえばいい

パウリーの中の、ナマエに関しての一番古い記憶と言えば洟垂れクソガキの頃に初めて会った時にまで遡る。どうして出会ったのか、親父同士がダチだったとかそんなんだったような気がする。ともかくその一番古い記憶の中でナマエは、お互い初対面なのにも関わらず「おまえ、おおきくなったらクソイケメンになりそうな顔してんな!お前はどうせ『女なんてめんどくせぇ』とか言うキャラなのに顔が無駄にイイから四六時中若い女とかババアとかに嫌ってぇ程追いかけられてそうな顔だ!むかつくなそれ!!決めた!!オレ、大きくなったらお前をオレの恋人にする!!そしてお前の未来に来るであろう女だらけのハーレム生活をオレが阻止してやる!!断固として!」等と言って来たのだ。今思い返してみたってあんな事言う幼児なんていねぇぞ。チビだったオレは矢継ぎ早に何言われてんのか全く理解出来なくて理解出来なさ過ぎて泣いたんだっけか。ナマエはアイツの親父に何意味わからねぇ事言ってんだ!大工仕事もマトモに出来ない大人になんかなったらその時はオレがお前をぶん殴るぞ!!と言われて泣いていた。会話もロクに交わしてないのにお互い泣き顔だった










「おい お前はオレのハーレム生活を断固阻止するんだろうが」
「何だそれ懐かしい話だな。あの頃はオレも燃えてたなぁ」
「一生忘れるかあんな出会い頭。末代まで語り継いでってやらぁ」
「末代とか言うが、お前の血筋は今オレのせいでお前んとこで絶賛ストップ中だぞ。どうする。残せる末代もできねぇぞ」
「もう構わねぇよ。お前のせいでオレは女に対してこんなにもウブに成長してきたんだぞ。今更子なんざ残せるか。責任取れ。一生」
「おお任せろパウリーお前の墓掃除はオレが毎日してやろう。だから今オレを縛ってるこのキッツい縄を取ってくれ肉が変形する」
「何故お前がこんな風に縄で縛られつるし上げられてるか分かってるんだろうな」
「オレが酒屋のネエチャンと浮気したからですねすみませんでした」
「誠意が感じられねぇ!!てめ、こんなに恋人に一途な奴を放ってよく他の奴のトコ行けるな!!」
「パウリーがオレに一途に育ってくれたのは凄く嬉しいぞ。幼少の頃からアプローチしてて良かった。勿論オレもお前が大好きだぞ」
「当たり前だ!!一体何十年付き合ってると思ってる!」
「そう、何十年もお前と一緒だ。お前はずっとオレといれて嬉しいだろう。オレも嬉しい。だがな、オレはお前ほど恋人に対して一途、な感じには成長できなかったんだ。たまには他の止まり木に移りたくなる」
「不公平だろ!何でオレだけお前にこんなゾッコンなんだ!お前もなれよ!」
「分かった!以後気をつける!愛してるぞパウリーお前だけだ!」
「よし!」






―――この十数年間の間で、ナマエがパウリー以外の人間と浮気をするのはこれで67回目 そしてパウリーが浮気をしたナマエを許すのはこれで67回目

よくもまあ飽きないものだ。アイスバーグが、眼下で、仕事をサボって繰り広げている弟子の―ウォーターセブン名物の―痴話喧嘩をしているナマエとパウリーの両人に送る言葉だ
誤解ないように言っておくが、ナマエはパウリーを溺愛している。パウリーは知らないだろうが、ナマエが他の女と浮気をした時、事に及ぶ時、考えることはいつも決まって「やっぱりパウリーのが良いな。アイツは最高だ。お前はクソだな」だ。そして相手がブチ切れる。ナマエの首根っこを捕まえてパウリーに引き渡す。そこでパウリーはナマエの浮気に気付く。お決まりのパターンだ

最終的に己の恋人が世界で一番最高だと気付くのに、何故ナマエは懲りないのか
そんなことは第三者のアイスバーグには分からない。もはやクセにでもなっているのか



喧嘩の後はお決まりとなったキスの応酬、じゃれあい、そのまましけ込みそうになっている2人を一喝するべく、アイスバーグは手近にあったブロックを2人の間に投げ込んだ





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