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「ナマエ、お前って最近物忘れが酷いよな」


夕食の席でラクヨウが言い出した言葉に、ナマエは「…そうか?」と返した。
本気でそうかなーと言っているナマエにサッチも「そうだぜー」とラクヨウの後押し。酷い、と言うか何かを忘れる頻度が多いような気がする。
真面目な顔で言えばナマエもちゃんと受け止めたようで「…まじでか」と言って最後の肉を口に運んだ。


「…例えば何を忘れてる?」
「今日の釣りするって約束、忘れてたろ」
「………あ」



ずっと待ってたんだぞ、ラクヨウの軽く責める口調にもナマエは頭を掻いた。そう言えばそんな約束を昨日だか一昨日だかしていたのを朧気に思い出す。
…いや、本当に「そんな約束してたか?」「……おいおい、まじか」一昨日のことがもう思い出せなくなっている。うーん…?頭を抱え捻ってみても、駄目だ、全然出て来ない



「…やっぱナマエな、日記とかつけた方がいいって」
「日記ぃ? んな面倒なこと…」
「いや、サッチの言ってんのが合ってんよナマエ 年だとしたって、何でもかんでも忘れんのはよくねぇ。日記って言わずにメモ帳ずっと持っとけ」
「んー…」


気乗りはしないが、二人がそこまで言うならやってみようか。「分かった」と答えたナマエに顔を明るくさせたサッチとラクヨウは頷きあい、「じゃあこれ、おれ等からのプレゼントな!」もう早速用意していたらしい。これではナマエの意思などあってないようなものじゃないか。苦笑いで分厚い皮に覆われた日記帳を受け取った。意外にちゃんとしたモノをプレゼントしてくれたらしい。
高かったんじゃないか?と言えば、「いいや、酒のボトル2本我慢しただけだったから」とのこと。



「よし、じゃあいきなり書いてみようぜ」
「もう? …しょうがないな」



羽ペンとインクを取り出し、日記帳の最初のページを開く。
さて何から書き出すか、と筆を彷徨わせ、



「……俺さ、朝なにしてた?」


と答えるナマエに「おいおい…」と顔を顰めた。これは日記帳をつけるだけで補える問題ではないかも知れなかった




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