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▼ 愛情2

怪しいおっさんにノコノコ付いてきてしまったけど早計だっただろうか。

でも凄く泣きそうな顔で頼まれたんだ。「頼むから一緒に来てくれないか」って。見知らぬおっさんに泣き顔で懇願されたのが初めてで深く考えなかったんだけど。それにあの場に、ローはいなかった。おかしい話だ。確かにあいつの手を掴んでいたはずなのに。どこで放してしまったんだろう。離れ離れになることは想定してなかった。手さえ掴んでおけば大丈夫だろと思っていたのがバカバカしかったのか。


黙りこくっていた俺の少し前を歩いていたおっさんは頻りに「何故……いや、なぜ…」とうわ言みたいに呟いている。…やっぱり変な人だったら、どうしよう
だがもう遅い。元いた場所からは随分と歩いた。
ここで放り出されてしまえば、間違いなく路頭に迷うことになる。
ローの手がかりが少しでも見つかればいいのだが…。試しにこのおっさんにも訊ねてみようか。もしかしたら、と言うこともある



「…え、っと すいません」

「!? ――あ、ああ。な、なんだ、ろうか」


驚かせてしまったらしい。いかんいかん、なるだけ不快感を与えないように笑顔で…


「さっきも言ったと思う…んですけど、俺、人を探してるんです。ロー…って言う男の子なんすけど、どこかで見かけませんでしたか?」

「……、…」

「あ、背格好はこんくらいで、白い斑のついた帽子被ってて、目つきが悪い感じで…」


身振り手振りで説明した俺に、おっさんは何とも言えない表情を浮かべながら「……よく、知ってるよ」と言った。
えっ、と声を上げた俺に「とにかく付いて来てくれ。それから、話をさせてくれ」と言った。…この人はなにかを、知っている。 そう直感した



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