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▼ どうして ぼくだけをみてくれないの

「兄上、今日は出歩かない方がいいですよ。80%の確立で財布を落として帰って来ることになります」
「そうか!でも残り20%の確立で落とさないってことになるかもしれないんだろ?なら安心だ!行ってくる!」
「行ってらっしゃい」



案の定と言うべきか、その日ナマエ兄上は財布を落として帰ってきた。半ベソだ
僕の服の裾で涙と鼻水を拭うのは止していただきたい。でも僕の出した占いの結果に対して、僕に当たってくることはない兄上は大好きです。他の人は、たちまち僕を邪険にするから。だから兄上だけです。兄上だけには、占いの結果を教えてあげるんです。最悪の結果になってしまわないよう善処してるんです。当の兄上は全く聞き入れてくれないのだけれど、そんな楽観的なところも僕は大好きです







「兄上、今日もお出かけですか」
「ああ!
本当は内緒なんだが、ホーキーには話しておこう!
実はな兄ちゃん、海賊に誘われてる!」
「………な、」



なんですって、




「オレの剣の腕を買ってくれた人がいてな!近々海に出るんだがお前も来ないかと誘われたんだ!」
「………、…」
「どう思うホーキー」
「!え、どう、とは」
「お前の占いでは、オレはこのまま海賊に付いてっても良いのか悪いのか、出てないか?」
「…………うらなって、みます」
「ああ!」



駄目。そんなの、絶対に駄目。兄上が僕の知らない遠い場所に行くなんて絶対に許さない。兄上はずっと僕の傍にいてもらうんだ。そうしないと僕は兄上以外に信じられる人がいなくなる。そんなの寂しい。辛い。耐えられそうにない。ぜったいに、いかせない




「…やばいです」
「やばい!?どんな結果だ!」
「兄上が海賊になった場合の死亡率8…、いえ100%です」
「100%!?かつてないぐらい断定された結果だな…」



嘘だ。本当は85%。でもそのまま伝えてしまえば「なら残りの15%で(以下略」になる。兄上の思考回路なんて十二分に解ってるから



「総合すると、兄上は海賊になってはいけません」
「そ、そうか……ホーキーが言うんだもんな、間違いないか。残念だが、断りの旨を伝えてくる!出かける!」
「気をつけてください兄上。出先でスリに遭う確立が65%です。盗られたくない大切なモノは家に置いて行った方がいいです」
「オレが盗られて困る大切なモノはホーキーお前だけだ!行ってくる!」
「………」



どうして、ぼくとあにうえは兄弟なんだろう



(どうして ぼくだけをみてくれないの)


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