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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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▼ 黒足のサンジ

「ぶちょー、レンズのキャップ外し忘れるとかマジ初心者 基礎からやり直してください」
「オレが行けば良かったですよー!生の"黒足のサンジ"とか超興味ありましたのにー!」
「ううううるさぁーい!ナマエちゃんはこんなことわざを知ってるかな!?『猿も木から滑り落ちる』」
「あー、確かにぶちょーってお猿さんみたいなトコありますよねー」
「そうじゃないよ!!」



激戦を繰り広げていたエニエスロビーにまで赴き、海賊の手配写真を撮りに行くその姿勢は尊敬できるのだが、たまにこうしてとんでもないポカをやらかしてしまうのがアタッチの爪の甘いところだ(部員談)
しかも今回は、ナマエもナマエもフォローしようがない程の初歩的なミス
キャップを外し忘れて黒塗り写真を提出するとかプライドないんですか貴方は。二人に散々詰られ責められ上からも怒られたアタッチはすっかりションボリと消沈してしまっている



「も、どーすんですかぶちょー また撮り直しにでも行きますか どうすんですか」
「どうしようもないから、似顔絵を代わりに掲載することになった…」
「え!?似顔絵!?手配書の人相は正確でないといけないから曖昧な似顔絵なんて禁じ手なのに…!」
「本当に今回のことは100%ワシの過失!!でも二人にも手伝ってほしい!!」
「どう手伝うって言うんすか……顔見たのはぶちょーだけでしょ?」
「でもアッさんって、絵心ないですもんね!」
「ニコヤカに言わんで!!」



『※似顔絵描いて提出』と子どもの宿題のような一文を添えられた白紙の紙を前にしてアタッチは頭を抱えている。ナマエは興味ないと言わんばかりにカメラのレンズの手入れを始めているし、ナマエは部屋の隅のトレーニングルームで筋トレを始めてしまった。
部長のピンチに手を貸さない鬼のような部員たちである


「後生!後生のお願い!特徴を伝えるからナマエちゃん絵を描いて!女の子だろ!」
「そりゃ差別ってモンですよぶちょー…第一あたし絵心ないですし…」
「そこを何とか!」



泣いてしまった。おいおいメソメソと泣くアタッチに、ナマエははぁとボサボサの髪の毛を掻いた



「……あたしは描くだけですからね どんな絵になっても、それはぶちょーの伝達力の責任ですよ」
「分かった!全ての責任はワシが背負う!」
「…しょーがないですね…」
「あ、ナマエさんが絵を描いてあげるんですか!」
「ナマエ君も手伝ってね」
「オレに出来ることなら勿論!」




そして、海軍写真部三名がああだこうだとすったもんだして書き上げた黒足のサンジの人相が、一人の海賊と一人の男の未来を左右することになるとは誰も想像していなかった




「なかなか上手く描けたんじゃない!?よくやったよナマエちゃん!」
「……本当にこんな海賊いるんですか?むしろ人間として存在するんですかね…」
「ちょ、ちょっとヘンテコですけど!こんな男もいますよ!きっと世界のどこかでとんでもない苦労をしながらも生きてる筈っす!!」
「ナマエ君も大概酷い男だよね」



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