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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 優しさのおすそ分け

「もう若くねぇんだからちったぁ大人しく余生過ごせ」



って、ガープ中将の方から伝えて来てくれませんか?婆ちゃん、俺の言うことなんて聞く耳持たないんで。てかんな事言ったら、アンタに心配される筋合いはないのよー!とかってチョップくらいそうなんで









「実に祖母想いじゃのう、ナマエは!」
「あら…あの子そんな事言ったの。おやおや…」



ガープは受け取った伝言を一言一句間違いなく伝えると、何故か上機嫌に笑った。つるの自室にまで持参した煎餅の袋を豪快に開け、茶を所望している姿にはもう慣れたもの。煩くしない内に帰っとくれよ、と言いながらも、つるは二つのお茶を用意してまた席に腰掛けた



「昨日つるちゃんが怪我して帰って来たのを心配してるようじゃったぞ!」
「ふぅ…あれは只の擦り傷だと言ったのにねぇ…」
「良いじゃないかぁ!良い子じゃ全く!」
「…まあねぇ、そこは素直に受け止めるさ。ナマエはイイ子だよぉ?ガープ、アンタのとこの孫より何倍もね」
「なに〜?」
「少なくとも、ウチの孫は私の姿を見てちゃんと海軍を志した。アンタのとこのお騒がせな孫よりもよっぽど素直で良い子さ」
「むぅ…!言い返せん……」



ぐうの音も継げない程言い負かされたガープに気分を良くしたつるは、袋から煎餅を奪い取り噛み付いた。硬くて辛くて、あまり美味しいとは言えなかったけれど



暫く二人で談笑していると、小さく控えめに扉がノックされる。

入りなさいと声を掛けると、中に入って来たのは



「…失礼、します」

「…おや 噂をすれば何とやらじゃないか。どうしたんだい?ナマエ」



バツの悪そうな顔で入室して来たのはナマエ

その顔がソファに座っているガープに向けられると、あっ!と焦った表情に変わった



「ガ、ガープ中将!」
「おおナマエ! お前さんに言われたことは、ちゃあんとおつるちゃんに伝えたぞ!」
「!な、何も今このタイミングで伝えなくたって…!」
「厚い心配をしてくれたみたいだねぇ?ナマエ。ありがとう」
「…ああぁこれだからヤだったんだ…!クソッ!」



否定する選択肢も浮かんでいないらしい。これ以上からかうのも可哀想だと、つるはナマエに要件を言うよう促した。



「…ああ、ガープ中将にだ。部下の二人が捜してましたよ」
「まさかコビーとヘルメッポかのぅ…後少しぐらい休ませてくれたって…」
「…ガープ、早くお行き。久しぶりの孫との交流の時間を邪魔しないでおくれ」
「んなっ!!!な、ななな何すっとぼけた小っ恥ずかしいこと言ってんだよクソババー!!」
「それもそうじゃのう、じゃ、お邪魔した」
「もう来ないでよ」



ガープの姿が扉の向こうに消えたのを見計らい、つるはニンマリとした笑みを浮かべた



「それじゃあナマエ、婆ちゃんとお話でもするかね?」
「そっ!そんな事してる程、ひ、暇じゃねーよ!!」
「おや?でも私の怪我の心配をして見に来る時間はあるんだろう?」
「そ、それはたまったまだ!たまたま!誰がこんなババくさい部屋に好き好んで来っかよバカじゃねぇの!?」
「さっきから黙って聞き過ごしていやクソババアだのバカだの言って!婆ちゃんにそんな口利いてどうなるか分かってんだろうねえ!ウォシュウォシュの刑が必要かい?」
「ご、ごめん!!だからそれは勘弁してくれ!!」



心を洗わられ、恥ずかしい思いをした以前の記憶がぶり返しナマエは赤面した。





椅子に座って手を組んでいるこの小さな身体には、何年経っても勝てないのは分かっているんだから、いい加減に素直になるのが身の為だと思うのに、それが出来ないからこの苦労




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