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▼ ドレーク

!フリリク企画作品
クラシック・レディ設定/転生



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生きる世界は変わっても、特に関係に変わりはなかった。
変わらず私は彼女の隣に生まれ、そしてまた彼女も私の隣で笑っている。
そして同じように、彼女は私の眼を惹きつけるのが上手だ。






「さあドレーク 今日の私と貴方の予定を口頭で確認して!」
「…先日出来たばかりのブティックを回り目星をつけた春物のワンピースを入手して、現在20代女性の間で人気のあるパンケーキ屋にて食事をとった後、お洒落なスタンドライトを物色しにデパート内の家具屋を回る」
「きっちりと予定が立ってて行動するのはイイわねー!」


だがその予定とはあくまでも20代の女性に適した内容だった。男性であるドレークには少々…いやかなりハードルが高い。特にこの後のパンケーキ屋。特にこの後のパンケーキ屋。

ナマエは嬉々としてブティックに陳列されてある棚と棚の間を忙しなく動き回っていて、キープ済みの服持ちをさせられているドレークの眼ではたまに追いきれなくなる。今のドレークは海軍将校でも海賊でも何でもないただの一般人だ。動体視力が悪いわけでは決してないのだが、それでもこのような場所に来た場合の女性の動きには文字通り目を見張るものがある。ドレークは、改めてただの人間である自分のことを思い返してみてふと不思議な気分になった。こうして、ナマエに荷物持ちとして扱われている、今の自分のことを。

他の女性客たちからの熱い視線になんて気付くことはなく、あれこれと見て回り「ドレーク!これ私に似合いそうかなー?」と訊いてくるナマエに対して胸中でのみ間違いなく似合っていると断言しながら「ああ…そうだな」と軽い返事を返すのに一心だった。
「もうっ、相変わらず返答がシンプルなんだからー」
文句を垂れたナマエがまた棚の間に隠れていなくなった。




「………ふぅ…」
「なぁに?ドレークもう疲れたの?」
「うわっ!! な、なぜ背後にいる!」
「一周して回って来たの。 あ〜こうして見ると結構キープしちゃってたのね〜どれ買おうかなぁ」


確かナマエは春物のワンピースを見繕いに来た筈だったが…。
ドレークの疑問など知ったことではないとばかりに、ナマエはカーディガンやらブラウスやらスカートを手に取って次々に「買うもの」と「買わないもの」とに分けていく。勿論それらは全てドレークの右手と左手を使って行われていた。こんな時、自分の体格が変わらずにしっかりとしていて良かった。幼馴染の役に立っている。


「うーん……ピンク色のスカートと、うぐいす色のスカートどっちにするべきか…」

眉間の皺がすごいことになっているな。ドレークはどうでもいいことを考えている。

「ねぇドレーク」
「む? 決まったか?」
「ううん。ドレークにどちらか決めてもらおうかなって」
「またその難しい提案を…!」
「いいじゃないの〜」

ドレークの手からスカートを受け取り、左右に持ち上げて見せたナマエが笑う。

「ね。ドレークなら、どっちを履いてデートに来てほしい?」

「デ…っ!?」
「こういう時は男性の意見を重視しても間違いないと思うの! さ、どっちがいい?答えて!」


笑いながらも真剣に訊ねてきているであろうナマエ
そんな彼女とは裏腹に、ドレークの脳内ではすでに可愛らしいデート服に身を包んだナマエがドレークの手を引っ張ってあははと笑い駆け出してるところだった。
端から二人の会話を聞いていた女性店員が(今もデート中なのでは…)と冷めた視線を送っていることにも気が付かない。



今度こそビシっと、はっきりとどちらかを選択しなければ、ならないと言うのに


「どちらもナマエによく似合っている。私はどちらも好みだ」


結局またどっちつかずだ。
しかしナマエは喜んだようで

「ふふっ、じゃあ両方買おうかな。楽しみにしててねドレーク」
と言ってまたドレークの目を惹き付けてやまないのだった。









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◆20万企画作品のクラシック・レディ 現パロか転生設定


リクエストありがとうございました!



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