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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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▼ スモーカー

*部下主/ほのぼの





「痛い! どこ見て歩いてるんですかスモーカーさん!ナマエがここ歩いてるでしょ!」
「あー……すまねェ。小さすぎて見えなかった」
「んもー心外!これでも147あるもの!」
「………」
「無言でバカにしてる!」



海軍基地の廊下はけっして狭くはない。なのにこうしてスモーカーと激突する確率が高いのはどうしてなんだろう。
見えなかった、お前がチビだからとスモーカーは言うが、ナマエはまだ15だしこれからが伸び時なのだ。ナマエ自身はそう信じている



「おいチビ」
「チビじゃなくてナマエ!」
「これから任務だ。行くぞ」
「…はぁーい」



自分の上司のくせに、この部下を蔑ろにする態度はどうだ。これでナマエがスモーカーの人となりを知らなければすぐに異動願いを提出するが、
知っていて尚出したい時があるから困る

たしぎさんも「トロい」だの「クズ」だの言われているけど、少なくともたしぎさんは、こうしてスモーカーと激突することがない。眼鏡がない時でも人の気配を察知出来ているから
だがそれではまるで私は人の気配を察知出来ないと認めてしまうことになる



「……今度の訓練では、スモーカーさんをコテンパンにしてやるぅ…」
「バカは休み休み言え」



スモーカーがナマエを認めているのはその戦闘センスだが、
時にはこうして上司にさえも噛み付いてくるその心意気も買っていた
それぐらい言って訓練に臨んでもらわないと此方も張り合いがない



ナマエにコテンパンにされるとは思わないが、
このまま小さすぎる歩幅のナマエに合わせて歩いていると任務出発時刻に間に合わない。しょうがない



「、 きゃっ!?」
「じっとしてろ」
「まっ、またですか!いい加減コレやめてください!」
「これが1番効率がいい」



効率が良かろうが小脇に抱えられたナマエの羞恥は考慮に入れないところが無神経なスモーカーらしい
ビュンビュンと高速で駆け抜かれ、最後は窓から飛び降りたスモーカーには眩暈が止まらない
酔いでグラグラする脳を振れば、「ガキ」と言われる始末。ガキじゃない


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