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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ カク

*CP主/友情





「オレ、今度生まれ変わるんならカクみたいな目になりたいわ」

「………………男でなら、イマイチ迫力に欠けるがええんか」
「穏やかで優しい人間になりたいんだよ。オレは」
「お前さんが?無理じゃな。百回転生したって無理むりじゃ」
「まあそうかもな。だってまずカク自身が乱暴で無法者だもんな」
「しばくぞお前」




ナマエとカクの間で途端に始まった指銃によるデコピンの応酬は血腥いったらありゃしない。突かれたところから血が噴出している。この2人の喧嘩はいつも全力勝負だ。技の出し合いは当たり前で、メンバーの1人のカクと、見習いの立場であるナマエはお互いに遠慮を知らない。そのせいで、2人が並んで掛けていたソファは見る見るうちに真っ赤に染まっていく。そのソファは、カリファとジャブラがリサイクル屋で安くて丈夫なモノをようやく見繕ってきたモノなのに





「2人とも…その辺にしておけ…」

「ブルーノ!お前はオレとカクの一部始終を見てたよな!?」
「?あ、ああ?」
「このオレが直々に会いに来てやったのに、カクの奴オレに酷い事しか言わないんだどう思う!」
「それはお前が訳の分からんことばかり抜かすからじゃろう!」
「何をおお!5ヶ月ぶりくらいにお前のそのまん丸お目めを見たら懐かしさも相俟ってそう思ったんだから仕方ねぇーだろ!」
「お前さんが優しい人間になるなんてちゃんちゃら可笑しいんじゃ!ハゲ!」
「ハゲてねぇよ!鼻!」
「何の悪口じゃ!」



「「殺す!!」」


「ああ待てまてまて2人とも!荒らすなら外に出てやれ、外に!」



駆け出し、激突しそうになった2人の間にドアドアの実で外に繋がる扉を開いてやれば、
今そこで聞こえていた雄叫びが窓の外から聞こえて来る。やれやれだ











「表出ろやカクゥ!その鼻今日こそ地面にねじ込んでやる!」
「もう出とる! たかが道力1000台のナマエなんかにワシは負けんわ!」



カクの言い捨てた言葉に、カクに向けて拳を見せ挑発していたナマエの顔がニヤリと歪んだ



「んん?情報が遅いなカク。オレは4ヶ月前に道力2500を叩き出してやったんだぜ!」
「な、なに…!?ワシよりも上…!?」
「!だよなぁ!カクの道力って幾らだっけなーって思ってたんだ!すっきりしたぁ!」
「ち、ちっともスッキリせんわ!いつの間にお前、そんな力つけたんじゃ!?」



うろたえるカクはどうやら勝負に乗ってこないらしい。
上げていた拳を下ろしてカクに近付けば、カクのその目には未だになぜ?なぜ?と、疑問と驚愕の色が滲んでいるのが分かった




「なぜって…強くなりたかったから頑張ったんだ。当たり前だろ?」
「でも、急激過ぎる。無茶な訓練ばかりして身体を酷使し続けたんじゃないじゃろうな」
「…………あー…」
「否定せえ!」



先ほどまで殺気立っていた空気は微塵もない。あるのは、幼馴染の身体を心配するカクと、幼馴染からの慣れない心配に力なく笑うナマエの姿だけ



「だって早くメンバーになりたいんだよ」
「……どう言う意味じゃ」
「お前と同じ職場に早く就きたいってことだよ言わせんな別に恥ずかしくねぇから」
「……訳分からん奴じゃ…」
「わけ分かれよ」
「痛いわボケ」



グリグリと鼻を突っつけば、不機嫌に眉を顰めるカクの眉間を今度は執拗にグリグリ押す
いい加減にせんか、そんなこと言われても止める間柄じゃあない



「長かったぜカク」
「………」
「5年だ。お前の背を見送ってから」
「…ナマエ…」
「オレにしては、結構頑張った方だろ」
「……自分の体痛めつけたこと、怒ってるんじゃぞ」
「まあまあ」
「……ぼけぇ」
「まーまー」





CP9は実質終わったようなもんじゃぞ
ああ、知ってるぞ
今さら、遅いわ
別にいいさ
何がいいんじゃ、なにが
養成施設も飛び出してきたし、もう帰るつもりもないし
それでどうするんじゃ
カクが行く先々についてってチョッカイ出すだけ
…暇人か
まあな




人差し指で、心臓部分を突かれる。弱々しく、滑り落ちそうで、力も気も持たないその指を掴んで引き寄せる




「もう置いてかれたくないんだ。 傍にいさせろよ、幼馴染野郎」

「…しょうがないのう。お前の阿呆面を見てたら和むわ。アロマグッズ的な立場で傍におることを許してやる」



ハハハ、



「泣いてますよカクさん?」
「阿呆言うな。汗じゃ」


「しょっぱい汗ですねカクさん」
「煩いわ。舐めんな」







ねえ ほんとうは すごくつらかったんだ きみをおいて とびだすのは 


しってるよ きみのことは なんでもわかる










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