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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ エース

*人外主/お別れ





白ひげ海賊団本船にはナマエと言う猫がいる。名前はナマエで、エースの愛猫だ


仔猫の頃に海鳥に浚われていたところを助けてからエースに懐いたようで、
ニィニィと鳴いてエースの足に擦り寄っては「ああもう可愛いなぁナマエは!」と抱き上げてやっていたのが常だ

生憎この船に猫の種類が分かるような男はいなかったからナマエが何と言う猫なのかは分からない。縞々模様でオシャレな猫なのは分かる



「にゃーん」
「ナマエ〜こっち来いこい〜」
「にぃあーん」
「あーもー可愛いなーナマエはー」



デレデレ。島の街で買ってきた桃色のリボンを首に付けたナマエはあざとく、「こうすればエースはこうやって撫でてくれる」と言うのを熟知している。今もエースの足に擦り寄って注意を引き、伸ばされた手に顔を押しやって「さぁ喉を撫でなさい」と言わんばかりの顔だ

正直、猫の可愛さなんて飼い主じゃない者からしたらいま一つピンとこない
ナマエはエース以外の人間にはあんな風に甘えた声で鳴かないし、喉だって撫でさせやしない。「気安く触らないでいただける?」そんな目をして見下されてる気分だ。猫は懐かないところが可愛いんだよ!とはサッチの言葉である。正直、マルコはサッチほどどえむではないのでよく分からない









ナマエと言う猫は、今日もエースが好きだった

温かい掌に撫でられるのは、最高の至福








「ナマエ〜ごめんな?すぐに戻るから」
「にゃぁん」



ストライカーに乗り込んだエースは、船べりに座ったナマエにニカッと笑いかける。ナマエが大好きなエースの笑顔だ

エースがこうしてナマエを置いて行くのはよくあることだ
危険な島には上陸させないし、戦闘が始まれば部屋に居るように言う。それをナマエは守ってきた
だから今回も、エースが「すぐに戻る」と言うなら「すぐに戻ってきてくれる」のである
エースが自分のところへ帰って来なかったことなんて今まで一度もないのだから



「いい子にしてるんだぞ〜」
「にゃ」
「他の奴らの言うことちゃんと聞いて、飯も貰うんだぞ。食いっぱぐれそうになったら、ブラメンコから貰え」
「にゃあおう」
「じゃあな、土産には新しいリボン買ってくっから!」
「ふにゃーん」



遠ざかって行くストライカーを見送った

今度は 新しいリボン買ってきてくれる んだって
何色かなあ わたしは、 エースみたいな おひさまの色 がいいなあ


そしてエースの姿が見えなくなった。潮風に当たりすぎてはいけないから、とナマエは甲板に降り立つ。しかし、そこにいた人間達は皆同じように暗い顔をしていた。

はて、なぜかしら? エースが 少し船を 開けるのが、 そんなに寂しいことなの?
だらしが ないのね 人間 って。 見て。 わたしは  こんなに さびしがって    いない のに







「にゃあ」





ああ エース、はやく かえって こないか なあ



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