▼ ゾロ
*画家主/友情
画家をやってます。客船に乗船した金持ち相手に絵を頼まれたり売ったりしていたので割と重宝されてました
しかし乗っていた客船が海賊に襲われ沈没してしまい、板切れに掴まり漂流してたところを
当時見張り番をしていたゾロさんに救出されたのが1ヶ月前
近くの島で降ろしてくれて構わないとこの船のルフィさんには申し出たけれど、
故郷の島がルフィさん達の進行方向上にあると言うことでそこまで乗せて行ってもらえることになった
なのでこうして船の上で日がな一日、絵を描いたり描いてあげたりして過ごさせてもらっている。一銭も金にはならないけど、とても楽しかったりする
「…ふっ…、ふっ…」
「……………」
今は、甲板で筋トレに励むゾロさんの姿をキャンパスに描いてます
「………」
ゾロさんはとても綺麗だ
鍛え抜かれた身体とか、厳しく締まった表情とか、遠くを見つめる眼差し
その全体から迸る人間のオーラは、今まで数多く見てきたモデルの誰よりも美しいと思う
「集中力も鍛えるから居てもいい」と言われたので、少し離れたところからデッサンする許可を貰った
ほぼ毎日こうして絵にしているけど、飽きない、見ていたい美しさってこう言うことかなあ
「……ふー………」
「あ、終わりましたか?」
「ああ……」
到底人間が持っていい重さじゃない重さのダンベルをゾロさんが甲板に落としたら物凄い音が響いた
脇に置いていたタオルで滴る汗を拭うゾロさんが、こっちに近付いてくる
正確に言えば、オレが向かっているキャンパスの方に
「……また描いてたのか」
「はい。駄目でしたか?」
「いや別に……お前も物好きだな」
「そんなことないですよ」
覗き込んできたゾロさんが「…あぁ?」と声を上げた
「……おれはこんなに光ってんのか」
絵の中のゾロさんを意図的に光らせたつもりはないけれど、やはり当人もそう思ったらしい
だって自分でもそう思った
「 はい。ゾロさんは、とてもピカピカしています」
「…汗か?」
「違いますよ」
じっと絵を凝視していたゾロさんがポツリ
「……上手いもんだな」
あのゾロさんが褒めてくれた
「………ありがとうございます」
良ければ差し上げます
…それは要らねぇ
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