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▼ フランキー

*押しかけ弟子






「あのっ!フ、フランキーさん!ですよね!」
「アー?」



"偉大なる航路"とある島に降り立った麦わら一味
「各自しばらく自由行動!厄介ごとは持ち込んできたら承知しないわ!」ナミの忠言も、
やれ肉だ!武器だ!酒だ!女だ!服だ!と飛び出して行ったルフィ達の耳に届いていたかは定かではない

かく言うフランキーも、久しぶりに自分も街を見て回るかねぇとサニー号を降りる


なかなかに活気のある通りを歩き、工具屋、船着場とフラついていたが、
とある人物がフランキーの背中を呼び止めた



「お嬢ちゃん、何者だ?」
「わたし、ナマエって言います!あ、あの細かいことは抜きにするんで私を弟子にしてください!」
「はぁ?」
「駄目だよナマエ!ちゃんと話の道筋立てて理由もしっかり伝えないと!」
「弟子ィ?あのな、おれぁ」



飛び掛るような勢いで飛び掛ってきた少女と、その少女の背中に飛びついてきた初老の男を腕に引っさげたフランキーは思い切り眉を顰めた。弟子は持たない主義で、と伝えようとした言葉は、少女の「ああああ生フランキーさんだどうしようほんもの」と言う歓声に掻き消される。オーバーオールと逆さに被られたキャップが似合う小柄な少女から出たとは思えない大きな声だ


「ジイさん、一体何事だぁ?」
「おぉ申し訳ありませんぞ麦わら一味のフランキー殿
この子はナマエ、年は数えで15になりまする。見てくれよりも大工の技を磨いた女っ気のない子ですが必ずや良い妻になりますのでどうぞお嫁に迎えてや、」
「何の話してんだオイ!!」



さっきと言っていることが違う。何段かステップを飛び越えてきやがった
ペコペコと頭を下げては上げて下げての繰り返しで頼んでくる老人の方は話にならない
「オイ」とフランキーが声をかけると、ナマエと言う少女は「は、はい!!」と力一杯に返事をした



「お嬢ちゃん、状況と意味を詳しく説明してくれや」
「あ、あの、私、おじいちゃんのお店で、大工のお手伝いしてます。む、昔から大工仕事が好きで、いっぱ勉強してました。ウォ、ウォーターセブンに住んでた時もあります!」
「ほー。若いオネエちゃんの身空で関心するじゃねぇか。ナミにも聞かせてやりてぇな」
「わわわ泥棒猫さんの名前まで聞いちゃった…!そ、それで、あの私、フランキーさんのことを昔から慕わせてもらってて、ウォーターセブンにいる時も毎日目で追ってました!すみません!」
「いや何も謝ることじゃねぇが…それでおれの弟子になりてぇってのはどうもおかしな話じゃねぇか?」
「そ、そんなことないです!フランキーさんカッコイイです!ホントです!」
「おおぅ…んな手放しに褒められちまうとフランキーさんも照れるぜ……」




フランキーさんの手配書、いつも懐に折りたたんで入れてます!
見せてくれた手配書は確かに自分のもの。しかしフランキーは未だに信じられなかった。
ウォーターセブンにいた頃の自分を知っているのなら、この少女の耳にだってあの頃のフランキーの噂は入っていただろう。変態だとか、悪党だとか、変態とか、邪魔者とか、変態とか
確かに自他共に認める大工の腕を若い姉ちゃんが惚れこんでくれたのは嬉しいが、人となりまで好いてくると言うのは珍しい展開だ。まだ若い身空、将来もあって人生の選択肢はまだまだ増える一方だろうに



「オネエちゃん、おれぁ今海賊やってんだ。危なっかしいから船には乗せらんねぇし、弟子にも取れねぇよ」
「あ、悪魔の実を食べてないからですか!?」
「や、それは関係ねぇけどよ。おれも食ってねぇし」
「スマンのぅナマエ…爺ちゃんの店がもう少し繁盛していれば、悪魔の実を闇ルートで購入してやるのに…」
「ううんイイのお爺ちゃん、気にしないで」
「ジイさんも不穏なコト言ってんじゃねぇよ」


じゃあまあそう言うことだからよ、オネエちゃんはこの島で大工の腕磨くんだな
そう言って話を終わらせ立ち去ろうとしたフランキーの巨大な腕に、尚もナマエは追い縋った。「待ってぇ!」と叫ばれ、道行く通行人達の好奇な目が集中する



「やっとお話できたんです、置いてかないでくださぁい!」
「いやあのなお嬢ちゃん!海賊ってなぁ恐ろしいんだぜ!?絶対泣いちまうぞ!」
「泣きません!海賊のことも一杯勉強します!お邪魔にならないよう気をつけます!だから、よ、弟子にしてくださいぃ」



やっぱり嫁って言いかけたなこのお嬢ちゃん

参った。こんな少女を海賊船になんて危なっかしくて乗せられねぇよ絶対
しかしちっとも放れやしねぇ。力があるのか、振り落とされないようにフランキーの腕に縋りつくその手は力強い


…しょうがない


「…分かった 船に乗りてぇならルフィに直接言え。船長の一存がねぇとおれの判断じゃ船には乗せられねぇんだ」
「!じゃ、じゃあ弟子にすること自体は良いよってことですか!?」
「どうせ直ぐに泣いて帰りたいって言うと思うぜぇ?」
「や、やったぁ!絶対に涙見せません!帰りたいなんて言いません!船大工の仕事、やりたかったんです!」



今までの話から察するに、フランキー自身がこの少女の目的の大半を占めていると思っていたのだが、船大工と言う職種をやってみたいと言う気持ちも強かったらしい。
パアッと顔を明るくさせた少女はやはり幼い15歳の顔をしていて、フランキーは今から仲間達になんと説明しようかと頭を悩ませた。

誰かに慕われるという行為を、無碍には出来かねる性分なのだ






向日葵娘とレンチ





「なぁにフランキー、どうしたのよその子」
「……あー、なんでもおれの嫁になりたいらしい」
「え、何それ珍しい」
「んだとロボ野郎に幼妻の可能性が!?」
「いや、弟子だっけか?」
「意味合いが全然違ってるぞクォラァ!!」


「ナマエです!15です!フランキーさんの弟子嫁になりたいです!船長さんはどこですか!直談判させてください!」


「いいぞ?」

「ルフィー!!」





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