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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ スモーカー

*無気力主





「だるい。今日は何もしたくない。明日にしようよ」
「黙れ。明日にゃ海賊どもはこっから居なくなってる」



ナマエと言う男は海軍きっての面倒くさがりやだ
どんな任務にもやる気を出さないそののらりくらりとした姿は、次期青雉と名高い。それが如何に不名誉なことであるかにさえ興味を示さない。陰では自分の悪口が飛び交っていることなど気付いてもいないのかもしれない
海賊を目の前にしても腕一本動かそうとしないし、部下達の前だからと言って活躍を見せたりもしない。本当に微動だにせずに「がんばれスモーカーあんど部下たち」と声援を送るのみ。口を動かしてるだけでも褒められる。スモーカーは海賊たちを拿捕している時よりも一際険しい顔してナマエを睨みつけた



「っつか今日は、ってお前まだ今日何もしてねぇだろうが!ちったぁ動けバカ!」
「きのうの疲れが残っててさぁ…」
「昨日もテメェは何もしてねぇじゃねぇか!」





何故こんな駄目人間が海軍に居て、
そこそこの地位につけているのかと疑問に思う者もいるだろう

『気だるそうに振舞ってるのは表面上だけで、本当は青雉殿みたいに秘められた力をお持ちなのでは…!?』と言う夢見がちな事を信じ、ナマエを慕っている哀れなコイツの部下達に教えてやりたい


コイツに、そんな秘められた力なんざねぇよ。精々残念がれ




「…あー、そこの海賊さんよ。そんな物騒なモノ振り回すでないよ」
「すっ呆けた事抜かしてんじゃねぇよ!やらなきゃコッチがやられんだろ!」
「安心して、オレは何もやらないから君もやられないよ」

「何かやれバカ!!」
「スモーカー殿、ナマエさんを怒鳴るのはやめてください!」
「ナマエさんは、『オレが手を下すまでもない。オレの部下達に任せよう』って我々に期待してくれてるんです!そうですよねナマエさん!」
「あーうん、そう大体そんな感じ」
「ほら!」
「………………」



微妙な顔をするしかない


ナマエは、部下達にとても慕われている。そして優秀な部下に恵まれる。
なぜか、先述の勘違い半分、ナマエの巧みな人身掌握術半分

ナマエが何もしなくても勝手に動いている優秀な部下達の手によって任務が完了する
そしてその功績の大半を部下達はナマエの功績とする。因って微々たる量だがナマエ自身の評判が上がる。故に昇格する。つまりそう言うことだ。ネズミ講とも言う



「終わりましたよナマエさん!」
「あーお疲れサマ よくやったね、えらいえらい」
「ナマエさんが手を下す価値もありませんでしたよ!」
「な!」
「あー本当にね。えらいえらい」

「……………」
「スモーカー君、眉間に皺が…あ、スモーカー君には眉がないのに眉間って言うの可笑しいか、ぷぷ」
「テ、メ、ェ…!」



何もしないくせに人をおちょくって来るのが本当に腹が立つ
今すぐそのとぼけた顔に一発めり込ませてやろうかと拳を鳴らして脅しても、
「暴力はおやめよ」とヘラヘラ笑って、もう帰還する態勢でいる



「いつか絶対に見限られるからなテメェ」
「んーそうかもねー  でもさ、スモーカー君は全然オレを見限らないよねー結構お人好し?物好きかな?いや…ゲテモノ趣味…?」
「……自分をそこまで言うのかテメェは…。 安心しろ、おれの内心じゃお前は底辺以下の存在だ」
「でもまだスモーカー君の心内にいるんだ じゃあスモーカー君のそこから、完全にオレが抹消されたら、海軍からも見限られるね」




「いやぁ参ったなぁ」とちっとも参ったようではないナマエに、ナマエの部下達が「そんな筈ないですって!」と必死に声をかけてやっている




スモーカーは新しい葉巻を取り出しながら、ナマエの今の言葉を反芻し鼻で笑った
ナマエは思い違いをしている。スモーカーはお人好しでもなければ物好きでもないし、ゲテモノ趣味もない
こんな、自他共に認められている駄目人間を、
昔馴染みと言う理由だけでずっと面倒を看ていられる程、スモーカーが"イイ人"でないことに早くナマエは気付くべきなのだ










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設定@
・主はトリップ主でむかし海賊の世界に飛ばされた
・生きようともがいた結果酷い目にしか遭わずこの世界でのやる気や根性なるものを全て失くした
・安全そうだからと入った海軍養成所でスモーカーと出会う
・主にはトリップ特典で、不特定の人物を惹き付ける力を貰っている(知らない)その餌食になった面々→スモーカー・部下達・初日に顔を合わせた上司達


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