▼ チャカ
*ビビ兄主/主従愛
「オレも、何ぞの悪魔の実を食べたくなるなあ」
「ナマエ様が、ですか?」
「なんだ?王家の者が悪魔の実を食らうてはいけないか」
「いえ、そう言うわけでは」
ペルがビビの護衛の任に就く役目が多ければ、チャカはナマエの文字通り走狗となることが多かった
第一王子にしてビビの兄。その容姿たるや国中の女、果ては男の目まで引いてしまう程の美丈夫で、武術の才もあれば勉学にも秀でているという次の王としての期待を一身に受ける方
その完璧な姿が、血の滲む努力の上で成り立っていることをチャカは知っている。
何故ならチャカはナマエの狗だから。
民衆を魅了して止まないこの方の根底にある癖も、性格も
「チャカ」
「はい」
椅子に腰掛けているナマエが、正面で跪いていたチャカの前に、国の王子にしては大きく節くれ立った武人の手をすっと差し出す
その行動に疑問を思うことの無くなったチャカは、
ごく自然な動作で恭しくその手を取って口元に運んだ
「舐めろ」
「御意」
表に向けられたナマエの掌に、チャカはべろりと舌を這わせた
己の掌を滑る舌の感触に、ウットリと目を瞑ったナマエの顔を上目に盗み見て、チャカは喉の奥でバレないように息を吐いた
疑問には思わなくなったが、何度やってもこの行為は面映い
最初、ナマエから命令された時には困惑した
しかし、王や王女でさえ知らない王子の性癖なのだと聡いチャカが1人でに気付けば、ナマエは莞爾として笑った。
流石はチャカだ、と
「お前はオレの狗なのだから、心腹の証明ぐらいやってみせろ」
このような事をせずとも、自分がナマエに忠誠を誓っていることは当然だ。
しかしそれとは別に、ただナマエが満足したいだけなのだろう
目に見えぬ好意を国中の女から寄せられるより
たった1人の忠僕からの愛が見たいのだ
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