▼ シュライヤ
*海軍主/映画後
「ナマエのバカ野郎はアデルの次に好きだ」
「…………そうか てっきり嫌われたのかと」
「気をつけて仕事行って来い」
「はいはい」
昨日の晩に、いきなり転がり込んできたシュライヤにベッドを貸して床で寝たせいで背中が痛んだ
海軍コートを羽織ってから、シュライヤに言われた言葉に気がつく
「バカとはなんだ」不機嫌な声を出してみたが、シュライヤはベッドに深く腰掛けたまま。「"一晩泊めてくれてありがとう"って意味だ」バカと言う言葉はいつからそんな意味合いを含むようになったのか。知らなかった
「出て行くんなら、鍵を掛けてポストに入れておいてくれ」
「分かってるよ しっかし、久々に会ったと思ったら、海軍将校になってたなんてな。階級は?」
「…中佐になった」
「おめでとさん」
「ああ」
シュライヤと他愛のない会話を交わすのも、何年ぶりになるのか
賞金稼ぎなんてアコギな商売をしていたシュライヤを心配したのは最初の1,2年だけ
海軍で昇進する為に意地になっていた時期と重なって、友人のことを思い出す日もじきに無くなったから
「…話に聞かせてくれた妹さんとジイさんの方は、今どこにいるんだ?」
「街で宿を取らせてある」
「迎えに行くんだろ?」
「もーちょい此処に居たら、行くよ」
久しぶりにナマエの家に立ち寄れたからな、しばらく居たい
口角上げて笑ったシュライヤのその言葉に、頷いた
「…もし夜までいるつもりなら、一緒に飯でも食べに行こうか」
「おっいいねぇ おれ、結構食うぜ?」
「美味しい飯屋へ連れて行くよ」
「ありがとよ」
じゃあもう出かけなければいけない。鍵をシュライヤに渡してから、扉を開けた
チラリと振り返ってみれば、手を振っているシュライヤがいる
何故こんな、幸せな気持ちになるんだろうか
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