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▼ アルビダ

*海賊主/失恋





「お前、なんだその高飛車なボディは」
「おや、ナマエ 久しぶりに再会した女にかける第一声が、それ?」



"偉大なる航路"で再会した知人がまるっきり姿を変えていました。
面影もありません。なんぞそれ



「…本当にアルビダか?」
「私を疑うの?ナマエ」
「疑うも何も…お前そんなセクシーな女だったか…?」



凹凸のない身体
顔にかかっていた毛むくじゃらの髪
陰険そうな目つき
不摂生感溢れるニキビ
部下達を怒鳴り散らす濁声

昔のアルビダを形成していたモノ全てを取っ払ったような姿をしている目の前の美女が、
宝の取り合いで交戦したこともある海賊団の女船長のようには思えない。
聞けば悪魔の実を食ったとか。外面変化を起こしすぎではないのか



「…それでアルビダ お前は今何をやってるんだ?様々な男たち引き連れて」
「ナマエも知ってるんじゃないかい?"麦わら"の男をね、追ってるんだ」
「…麦わら?ルフィのことか?」
「なによ、知り合いなの?」
「昔会ったことがある。快活で気持ちのいい男だったが、なぜ彼をお前が狙う?」
「ちょっと昔に、ね」



くすりと笑みを浮かべる妖艶な表情は、昔のアルビダでは到底出来ない芸当だった

昔とはお前がまだ"元の"アルビダだったときのことか、
それとも"今の"アルビダだったときのものなのか

一体どんな事をしでかしたんだと心配していると、アルビダは何を勘違いしたのか
軽い動きでオレの船に飛び移り



「あら、嫉妬しちゃぁ嫌よナマエ」



と言いながら勝手に口付けてきた。
後ろで控えていたアルビダの手下?の男たちからはああああ!と怒りの声が上がる。
どう言うつもりなのかいま一つ状況が理解出来ないオレは困惑するばかりだ。何故キスしてきたアルビダ




「……別に嫉妬なんぞしてない」
「フフ 嫉妬する男はね、皆そう言うんだ どうだい?ナマエ。アンタもアタシに付いて来ないかい?」
「は?」



口を拭おうか、と手を上げたが、やはりと思いなおして下げたソレをアルビダに取られる



「オレが、他人の望みの為に船長辞めるとでも思ってるのか?」
「ええ」
「……勘違いしてるなアルビダ 麗しの美貌を手に入れたからって、少し粋がってるんじゃないか?」
「おや、いけないかい? そうさ、この美しささえあればどんな男もアタシの手駒になるんだ。そんな安い世界を、見ちまったからねぇ。やめられないよ」



あとはアンタを手に入れるだけなのよ、ナマエ

赤く塗られた口紅がどギツイ色をしている。前の姿よりも、より一層"悪女"らしい



「…お断りだな。他を当たってくれ、アルビダ」
「な……に、弱小海賊のアンタの名を売るチャンスを作ってやろうってのに、断るのかい」
「必要ない。じゃあな、アルビダ くれぐれも腹の冷えには気をつけろ」



素肌を晒しているアルビダの腹にそっと手を触れて、ポイっとその身体を後ろに押した

力に従って落ちていくアルビダの身体は、部下達のいる自分の海賊船に吸い込まれて行く

何がそんなに信じられないのか
呆然と目を見張り、オレに向けて伸ばしている手は何を期待しているのか




「…オレにはさっぱり分からないな、アルビダ」





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