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▼ キッド

*友人主/現パロ





もうこのまま目を瞑って、一生目覚めないことに決めた




「ふ、ざ、け、ん、な」
「デデデデデ」
「お、き、ろ!」
「デデデ、イデデデ」




10秒前に定めた誓いは、朝っぱらでも遠慮のない剛力のせいで霧散した。ほっぺたが変形してしまう恐れが生じて来た。こいつ、全く容赦ねぇぞ!




「んなにごとだ!!」
「やっと起きたか」




寝起きの目に悪そうな真っ赤な頭が視界に飛び込んで来た。新手のテロかもしれない。原色が眩しすぎて目が痛くなってきたぞ!じんわり涙も出てきた!



「人のツラ見て泣き出すとかイイ度胸だなナマエ」
「くびは、首はやめてくださいキッドさま」
「このまま頚動脈キメられたくなかったらとっと準備しろさっさと着替えろちゃっちゃと飯をかっこめオラ早くしろ!!」
「うっすやるっす!なので上から退いてほしいっす!」



格闘技ファンのキッドの決め技は冗談で済まされないところが怖い。全身筋肉のキッドが退いてくれたことによって訪れた身体の開放感に浸っていたら後頭部はたかれたのだが、この朝の時間だけでオレの脳細胞は一体何千万ぐらい死滅してってんだろう



「歯ァなんざ磨かなくたってイイだろ、髪とかせ早く並行して飯を口に入れる!大きく開けろ口!」
「モガフガガ」(毎朝のことながら手荒いです)
「ア?嫌か?アア?」
「フゴ」(いえ)
「フン、嫌ならとっとと携帯修理に出すか目覚ましでも買うこった。それする金があるんならの話だけどな」
「バイト代来週入るから、それまでのお付き合いだぞ」
「…金入ったら奢れよ」
「わーかった」



先々週からのキッドとの密約。学校へ朝寝坊しないように起こしに来てくださいの言葉にキッドが頷いてくれた時は失礼ながら熱があるんじゃと疑ったし裏があるんじゃと睨んだが別にそんなことはなかった。毎日欠かさず手荒だが起こしに来てくれてるし、正直とても助かっちゃっている。奢りぐらいお茶の子さいさいだ



「なに奢る?マック?」
「ゲーセン、カラオケ、ボーリング」
「オレとデートでもしたいってか」
「んだよ駄目っつーのか恩人サマに対して」
「喜んで付き合います。何ならショッピングでも行ってアクセサリー買おうか」
「…ホントのデートになるじゃねーか」



そしてキッドの携帯のアラームが鳴る。乗らなくちゃいけない電車発車時刻まであと10分の警告音だ
「やべぇ!!」と何故か一回キッドに頭をど突かれてから慌てて家を飛び出した。急いてカギを閉め忘れそうになっていたオレにキッドが「鍵!おいバカ鍵!」と注意してくれなかったらどうなっていたことか



「キッドって何気に人がよく見えてるよな。荒っぽいけどイイ主夫できっぞ」
「―――超死ね!!」



超生きる




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