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▼ ボルサリーノ

*巨人族主/片思い





*女巨人海兵の名前:『レディー』






「きゃあっ! き、黄猿さんが、こ、こ、コッチ見たずら!はずかしいいい隠れさせてけろレディー!」
「私たちに"隠れる"なんて行為ムダよ」



ぐいぐいと海軍コートを後ろから引っ張られ、ナマエはそのまま背後に倒れそうになる。ドシン、と重い音を立てながら地面に片手をついて何とか建物への寄りかかりは抑えられた。いくら強固な海軍本部施設と言えど、一介の巨人が身を預ければ無傷とはすまない。ここで生活をする上で、何よりも気をつけなければならない事だ


ナマエは赤くなった顔を両手で覆い隠し、指の隙間から、
本部入り口に佇んで部下と話し合っている意中の人を盗み見る。今は背中を向けられていて顔は見えないが、その佇まいや身の振り方一つだけでこんなにもドキドキしてしまう
それに何より、さっき黄猿さんはこっちを見た。私の方に、目を向けてくれた!



「レ、レディー!今、黄猿さん絶対こっつの方見たよなぁ?!」
「間違いなく見たわ。良かったわねナマエ」
「はあああ黄猿さん…!どーすてあのにあばばいんあん男ぬ人!わたす、あんな小洒落た格好すてる人初めて見ただよ。ねぇレディー、わたす芋みてぇでねぇか?塩の香りさすてねぇか?いける?」
「ちょっと髪の毛ボサついてるわよ。さっきコケた時に乱れたのね」
「ええええ!」
「直してあげるから、大人しくしてなさい」
「おねがいぃ…」



半ベソ掻いているナマエは、海軍本部巨人部隊入隊時当初から黄猿ことボルサリーノ大将に一目惚れ状態だった。巨人族の少女――と言ってもその体長はゆうに8mを越す巨体を 周りに被害が及ばない程度にジタバタさせ恋という感情に身悶えている。
エルバフより遠く離れた離島で過ごしていたナマエは話し言葉がまだどこか訛っていて、本人はそれをコンプレックスと思っていた。一部の海兵達からは、そこが愛嬌があって良いと言われ人気なことを本人は知らない。基本的に戦いのこととボルサリーノのこと以外のことは耳に入って来なかったりする、案外強かな子なのだ











「……………うーん……」
「黄猿殿?どうされたのですか?」
「いやぁ…なんでもないよ〜」



背後で交わされている女巨人族同士の会話はボルサリーノにはいつも筒抜けだ。覇気で感じ取る事など容易いし、何より彼女達の声は常人の女の声量よりも大きい。だからボルサリーノは困った声を出す。



「…変わった子に好かれちゃったもんだねぇ〜」








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