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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ チャカ

*ビビ弟主






「ナマエ様の私室の前だぞ騒がしい!静かにしないか!」
「し、しかしチャカ殿!昼から王子は帝王学の授業に顔を出すように…」
「ならば私が責任を持って王子にお伝えしておく。これ以上の問答は無用だ。貴殿は戻られよ」
「……承知しました」



強面のチャカに言いくるめられた教育係は、諦めの表情でスゴスゴと豪奢な扉の前から立ち去った。その背中が曲がり角の角に消えたのを見届けると、チャカはクルリと身を翻し、番兵として立ち塞がっていた扉を開いて中へと入った。

部屋の真ん中にある大きな揺り椅子の上で目を閉じ、頬杖をついている主から声が掛かった



「……ちゃんと送り返したか?」
「はい。誠意なる態度で応対致しました」
「そうか………」




「やったあー!!」



王子は軽やかな動きで椅子から飛び降り、ニコニコとした顔を浮かべ部屋中を走り回った。チャカもその様子を見て微笑む



「良う御座いましたなぁ、ナマエ様」
「ああ!チャカのお陰だ!昨日は12時間も閉じ籠って歴史学の本を転写していたんだぞ!2日続けてそんな事出来るわけない!」
「左様ですね」
「今日は陽も良いから、馬に乗って遠出しようかな!」
「おや…もしそうなされる場合、必ずこのチャカめをお供に付けてくださいよ」
「分かった、わかった。心配性だなあチャカは」
「当然です」



長く裾が伸びた上着を脱ぎ、半袖の衣服に着替えたナマエはもう早速城を出る気でいるらしい。勉学室で待っているであろう教育係には申し訳ないが、チャカの中で優先される事項は第一にも第二にもナマエの意思であることだ。



「ビビ姉様はどうなされてるんだ?」
「本日もスナスナ団の皆さんの元へ遊びに行かれております」
「そうか、だから父上もイガラムの奴も姿が見えないんだな。好都合だ!行くぞチャカ!ついて来い」
「はっ!」



ナマエからの言いつけ通り、既に厩に馬を用意してある。俊足の若い黒馬で、次期王にお似合いの馬だ。

「俺は今日は馬術の勉強をしている、先生への言い訳はこれにしよう」
「宜しいかと思います」
「だろ! よし、じゃあ今日は街の食堂で城下の飯を食いに行こう!あれは城の料理より美味いから好きだ!」
「ナマエ様、そんなことを言えば城のコックがお泣きになりますよ」
「泣けば謝ろう。でもピーピー泣く奴は俺は嫌いだ!」



開け放たれている部屋の窓から飛び降りたナマエは、ヒラリと背の高い木々に飛び掴まり、軽やかに下へ下へと降りて行く。お目付役としては眩暈がするような光景だが、コブラ王が「男児なのだからそれくらいするわ!許す!」と言って寛容してしまったからチャカに止める権利はない。主の後に続く形で、チャカもそこから下へと向かうのみ




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