OPshort | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


▼ ロー

*現パロ









「しッッつけェなァテメェ等! ンなんだから社会から除け者にされて嫌われンだよバァカ!」
「出会い頭に途轍もない暴言を吐いてくるお前のそう言うところ…嫌いじゃないぞナマエ!」
「ウザ!キモ!スナギモ!シネ!」



――真夏を少し過ぎた平日の夕暮れ鉄橋の下の川原
使い古されたタイマン勝負を申し込むのにこれほど相応しい場所もないだろう。頭上を走る車の走行音が反響して聞こえ、ナマエの苛々を更に加速させていた。
ナマエの嫌いなもの 1つ、野菜 2つ、騒音 3つ、謂れのない吹っかけ

前回は『目が合ったのに無視されて腹が立ったから』だった。何だそれはと大声で怒鳴ってやった。でも目の前のカチ公とその他取り巻きは毎度毎度何らかの理由を作ってナマエに喧嘩を吹っかける。鬱陶しいことこの上ない上に暑さのせいで本当にこんな奴らを構ってやってる場合じゃない



「もういい加減にしろカチ公!コレで俺に負けたら二度と俺の前に現れんなよ!!」
「うるせー!高校生なんかに負けるなんて恥なんじゃボケェー!!」
「この間は4人だったけど今回は7人もいるんだぜ!」
「覚悟しろナマエ!!」
「ウザ!性懲りもなくウザ!」



カチ公の取り巻き6人はご丁寧にバットとゴルフクラブを構えてにじり寄って来る。
通学鞄を地面に投げ捨てたナマエは男たちから距離を取って拳を構えた。バットはまだアレとしても、ゴルフクラブは少しリーチが長い。くそせめてパター用持って来いよ、なんて考えていると、ゴルフクラブを構えた内の1人が「うらああああ!」と声を上げながら飛び込んで来た。


ああ、こんな事なるんなら先に帰らないとアイツの委員会待ってりゃ良かった




「…ンなモン、振り回す、な!」
「アダァッ!」



横殴りに打ち付けてこられるクラブの軌道から身を逸らし、隙が出来た相手の懐に潜り込んで横腹を思い切り蹴飛ばした。続けてバット組みが振りかぶってくる。腕で受け止め、強烈な痛みに悶えるが「ダラアアア!!」顔面にワンパンめり込ませ吹っ飛ばす。
だが幾ら子分共をやっても「アニキ!鼻ふぁもへそうへす!」「ツバでくっつけとけ!クソッどうしてナマエはこんなに強ェんだ!欲しい!」「キモ!ウナギモ!」一向に懲りてくれない。もう二十歳のイイ歳したおっさんのくせに、どうしてカチ公はこんなに気持ち悪いのか。似合わない髭面と粋がった柄の服装に背伸びをしてる感じの色付き眼鏡がとんでもなくダサい。



「もうお前らと一緒にいるとこ見られたくねぇ…!」



高架下ということもあって、河川敷を散歩中のおじいさんや帰宅途中の小学生たちが興味本位でチラチラと視線を投げ寄越してくるのだ。
誰も首を突っ込んではこないが、寄せられる目が痛くて恥ずかしくなる。



「…ッいいから早く帰らせろ!今日めっちゃ一杯課題出されてんだぞコッチは!」
「ふんがすっ!!」



カチ公の腕を取り、足を払って不細工な顔面からぶつかるように背負い投げる。なんて哀れな鳴き声だ


アニキー! ボロボロの子分たちが地面に埋まっているカチ公に駆け寄って、「お、覚えてろよ!」なんて字面だけで笑っちゃいそうな三下の捨て台詞を残して逃げて行った。




「…………はー…」



どうせまた来る。 分かりきっている現実に今から疲労感がこみ上げた。

棄てていた鞄を拾おうとして、右腕が嫌な音を立てる。 ああそう言えばさっきクラブで殴られた時に骨イったような気がするな。 勘弁してほしい。明日の体育はクラス合同で野球試合なのに




「――今日もどっかやられたのか?」


「………いっつもタイミングいいよな、お前」
「そりゃ狙って現れてるから」
「うげぇ、性質わっりぃ…」



にこやかな悪どい笑顔で 河川敷の階段を下りて来たのはローだった



「委員会終わったわけ?」
「終わったから此処にいるんだ」



さっさと帰らずに、お前を待っていればよかった。珍しく課題終わらせようって意気込んだ結果がこれとかヘコむ。 慣れないことをすると良くないことが起こるってイイ例を見せてもらった。 うるさいな


ローは埃と砂まみれになったナマエの制服の背面を叩いてやりながら、ナマエの制服の袖から覗いて見える赤く腫れあがっている腕を見た



「……赤いなこれ。折れてるんじゃねぇか?」
「あー……痛い、かも」
「診てやるからウチに来い」
「おー………持つべきものはやっぱ医者のダチだなー」




わざとその右腕を引いて歩けば、ナマエは「いてェってば!!」と吠えた





prev / next