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▼ サルデス

*元:幼馴染/擦れ違い






「元気か?」と訊ねるのは想定していたよりも存外簡単なことだった。

「元気だったよ」と答えて来るのは想定内で、
それに対し「そうか」と答えた自分の声は幾分棘が含まれていたと思う。



身長縮んだんじゃないか? 腹の立つ笑顔でそう言って来たナマエの方は背が伸びたようで羨ましい。同性の同い年である筈なのにこの身長差 男の矜持をズタボロにされているが言っている本人に悪意がないことは充分承知していることなので甘んじて言葉を受け入れた。


「そう言うナマエはやけに目がパッチリしてるじゃねぇか」

「分かるか? 二年ぐらい前からいきなり奥二重になったんだよ」

「それに隈もある。 寝てないのか?」

「夜中を楽しんでるからさー、俺」

「ちゃんと寝やがれ」



その内な、なんて適当な返事が返って来る。その内ってなんだ、全く。
笑うナマエをジトついた目で見れば「そんなに見るなって」と、わざわざ膝を折ってまで目線を合わせて来やがった。そのちょっとしたナマエの行動には苛々させられる。
こいつの中で自分は、"そう言う位置付け"であることを再認識させられてしまうのだ。



「今もお仕事頑張ってたんだなーサルデス」

「当たり前だ 明日も食って生きたいからな」

「うーん やっぱそう言うとこ真面目だよなお前って」




周りが騒がしくなって来た。"時間"が来たのだ。

サルデスはナマエとの会話を打ち切ることにした。「え、もう行っちまうのか?」もう少し話してようぜと言うナマエに「うるさい」とだけ返し、三叉を持って立ち上がる。
追いかけて来ているナマエの視線を切るように目の前で手をパッパッと振れば、渇いたような笑い声が上がった。

さあ、今日も楽しい囚人たちの拷問の時間がやって来た




「…俺の時はさ、優しくしてくんね? 同郷サービスって感じでさ」

「莫迦言うな おれはそこまで優しくなんかしねーぞ」



それにもう、お前とおれの関係は幼馴染でも何でもない。―― 囚人と看守である



檻の中のナマエは、柵越しに にへらと笑った。…なんだその笑顔は。
インペルダウンに収容されて"優しさ"や"施し"を期待したのなら、ナマエは間違いなく甘ちゃんだ。
ナマエが海賊に身をやっした時から、こうなることは想定内だったのだから




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