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「#幼馴染」のBL小説を読む
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一体何だろうか。

吐息を漏らすたびに世の女性たちがこぞって貧血で倒れたり、憂い顔を見せるだけで世の女性たちが顔を赤らめてしまいそうな美形であるくせに、何をさっきから溜息ついて悩んでいるんだろうかあの燭台切光忠は。
ワケが分からない。俺が吐こうとしていた溜息を奪われたみたいだ。蔵の裏に隠れて自分を罵倒し世界に生まれたことを遺伝子レベルから呪おうとしていたのに、気がつけば俺の隣に光忠が座っていた。イケメンのやる三角座りほど様になるものはないのではないか。俺みたいなゴミの隣でいるべき存在じゃない。早々に何処かへと立ち去っていただけないだろうか、そもそもどうして光忠はさっきから黙りこくって何も言わない。おかしい、いつもと様子が違うのではないか。すまない、ゴミのくせにイケメンの心配をしてしまって心底すまない。俺の心配なんぞブタにやる餌よりも価値がないのに。


そう言えば昨日遠征から帰って来た光忠の報告や挨拶なんかを聞かずにいたような気がする。



「お、お帰り 光忠サン」


「うんただいま主クン!!!!」


い、イケメンから鼻水出てる…。
というか俺の一言でテンションが一気に急上昇しすぎではないか。光忠の機嫌の振れ幅が難解すぎて怖い。昨日、帰還報告のために話しかけて来た骨喰の美人すぎる無表情顔に無言で見つめられてきた時以上の恐怖を感じる。光忠はちょっとのことで機嫌を損ねるような性格じゃないと都合よく解釈してはいるけど、もし万が一光忠に手酷く軽蔑されるようなことがあれば俺はそろそろ本気で自害を考えざるを得ない。刀に嫌われるような審神者はお役目御免だぜマジで、という時の政府からの幻聴が聞こえてきそうだったたたた…


「昨日はごめんね主クン!僕、部隊長なのに、帰還の報告を骨喰君に任せたりなんかしちゃって!自分に課せられた責務をきちんとこなせないのは格好悪いよね、本当にごめんよ、もうこんなことないように、しっかりやるからね!」


「は、ハイ」


よく分からんが他人のテンションの振れ幅ほんとこわい。



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