とうらぶ | ナノ
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平和


「おや、お帰り。君の作った鮭茶漬けは好評だったかい?」
「ああ、全て一瞬で平らげてくださった」
「それはそうだろう、あれは僕の眼から見てもとても美味しそうだった。一口ぐらいくれても良かったんじゃないかい?」
「誰が貴様なんぞに食わせてやらねばならんのだ。お前の方が食事作りは得意なんだから、自分で作ればいいだろう」
「それじゃあまた感じ方が変わってくるだろう」


大広間には二つ、卓上型の大きな炬燵が配備されてある。一つは獅子王や短刀たちや蛍丸が集まってカルタ取りをしているため、もう一つの炬燵で一日の仕事を終えた歌仙が温まっていた。「君も入るといいよ」と言って毛布を開けて勧めて来るので、主から回収した茶碗を洗って片付け終えた長谷部は向かい側に腰を落ち着ける。冷えていた足先が、じわじわと解れていくようだった。この感覚には、得も言えぬ素晴らしさがあると長谷部は密かに心に思っている。


「前田君には札の読み手としての才能があるようだね。ちゃんと詠み人の思いを感じながら手に取っているところが素晴らしい」
「そうか。俺には分からんがな」
「……なぜ蜜柑をそんなに剥いているんだい?」
「あとで主のもとへ持って行くためだ。本日も遅くまで明日の行路の見直しや戦略の立直しなどを成されるそうだからな」
「そうかい。なら僕も剥くの手伝うよ。あとで君も混ざるんだろう?」
「当然だ。主が我らの戦いやすいように基盤を整えてくださっているのに手伝わずしてどうする」
「では僕も後で向かうよ。帳簿をつけること以外だったら任せてくれ」
「……何が出来るつもりでいるんだ」
「…読み上げとかかな?」
「却下だ。それは俺がする」
「じゃあ必要な刀装の作成は僕が…」
「それも俺がやっておく」
「では明日の部隊長を…」
「それも断じて譲らん!」
「一つくらいこっちに回してもいいのではないかな!?」
「仕事とは他から回してもらうものではなく自分から先に見つけていくものだ!」












「長谷部さんと歌仙さんまた言い争ってますよ」
「実力が均衡し合ってるから他の事で差をつけたいんじゃないのか?」
「獅子王さん余所見しましたね「あ」の札頂きましたぁーッ!」
「アーー!!秋田お前ズリィぞー!!!」


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