とうらぶ | ナノ
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一応の報告








「あーー、おまえ、それはアレだ、えーーー、うん、そう、アレ、多分だがそれはーーー、まあ間違うことなくそのーーーーーー、ああ、とにかくアレだ」


とにかくアレ であるらしい。
 なるほど、やっぱりアレだったみたい。


「 ってどれだよもう! 分かんないことなら隠さずにはっきり分からないって言わないと駄目じゃないか主!」

「それよりも煙草はあるのか光忠!」

「あるよっ!はいどうぞっ! まったくっ!」



誰のお使いのせいで一人で転んで格好悪い目に遭ったと……これからはお使いを言付けるにしたってもう少し早い時分に頼んで欲しいものだよね、そうすれば僕だって暗い夜道に払う注意だって減るのに………いやでもあれは多分僕の無用心っぷりが出てしまっただけ…?そんな筈は……あるのかもしれない…。



「けれど何だったんだろうね、その死体…ああ、死んでなかったのだっけ? 最期の際に君の銘を口にして息絶えたのだろう?」

 「長谷部ー、火ぃ持ってるかー」

「そうだよ。その時の顔がまた凄かったというか…うつ伏せだった顔が見えたと思ったら半分焼けてたみたいでさ。 うーん、ちょっとだけ昔を思い出しちゃったな」

 「ええ、どうぞ 主。御前失礼いたします」

 「ん、あんがほ」

「主、口に煙草を咥えたまま話すのは関心しないな。……それで、その者に名前を呼ばれた瞬間、霊力を感じたんだって?」

「うん、すごく微量だったけどね。だから多分、あの人も審神者だったんじゃないかと思って、主にこの辺りで審神者が倒れてた理由を訊いてみようと思ったんだけど……」

 「だーかーら、そりゃアレだって」

「……これだもの」

「まったく、本当に君は戦いのこと以外ではとんと自堕落になるね」

「歌仙君、そろそろ夕餉の仕度しに行こうか」

「そうしようか。 やれやれ、どうして我が本丸にいる刀の誰よりも、人間である主の食べるご飯の量の方が多くなってしまうんだろうねぇ?」


歌仙君のお小言を、主は鼻歌交じりに兵法図を開きながら聞き流す。それは美味しそうに食事前の一服にありついているから、歌仙君も次の言葉は発さなかった。やれやれ、とまた肩を竦めて部屋を出て行く、それに僕も続く。
近侍である長谷部君は主のために火鉢を取り出し、軒先の戸を閉めて回るようだった。最近の冷え込みようと言ったら、急だからねぇ。




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