仲良く力を合わせた 審神者と 刀剣男士たちのおかげで
歴史修正主義者たちを 殲滅したよ!
めでたし めでたし!
「おい 誰だこんなふざけた書面を作ったのは」
「にっかりー」
「青江貴様ァ!」
「やだなぁ長谷部クン ちょっとしたにっかりジョークだよ」
何度か本丸の季節が一巡りした頃、冒頭のごとく遂に我々は悲願の勝利を得ることが出来た。
刀一本欠けることなく勝利を収めた事は素直に喜ばしい。しかし「戦いの収束」は、些か唐突でもあった。
昨日は普段と変わり映えのない一日だった。また明日も幾ら存在するのかも分からない歴史修正主義者たちとの戦いが待ち受けているのだろうと当然のように思っていたが、朝一に審神者のもとへ政府からの電報を持って来たこんのすけが伝えたのは「戦いは終わった」という一言だったのだ。
「こら青江ー 政府が送ってきた伝書の裏に落書きするんじゃないぞー」
「はいはい。 でもねぇ主、本当の本当に戦いは終わったの?」
「なんだ、お上からの言葉を疑うのか?」
「うーん……、じっちゃん、オレも実感湧かねぇぜ〜…このまま出陣したら、いつもみたいに戦場で会うんじゃないのか?」
青江が落書いた紙を飛行機の形に折りながら退屈そうに獅子王はぼやいた。綺麗な弧を描いて俺の額に刺さろうとしていたそれを 直前で長谷部が真っ二つに斬り捨てる。
『殲滅』
そんな二文字が、紙切れの隙間から見えた。
「…まあ、正直俺もまだ心から受け入れたわけじゃない。それに伴って」
「この後、ちょっと現世に戻って直接政府から詳細を聞いて来ることにする」
シュバッと音を立てながら挙手した青江と獅子王の手を取って下ろす。
「長谷部」
「! はい」
「俺が現世に行っている間、留守を頼むぞ」
「は…… あ、は、はい お任せを」
そうと決まれば善は急げだった。急な知らせは、うちの本丸中を割りと震撼とさせているんだ。
ああほら 中庭から、血気盛んな者どもの暴れる声が聞こえて来た。
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