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蜂須賀虎徹


/浦島バカな審神者と弟バカが過ぎてる蜂須賀がgdgdしてるだけ






「お前の弟君をどうにかしてくれないかね蜂須賀君」
「ああ、可愛いだろう?自慢の弟なんだ」
「おかしいな、蜂須賀君の耳をつけるのを忘れてたかな?」
「安心してくれ。ちゃんと二つ、両方ついているよ」


薄紫色の髪の毛を両脇に流して、形のいい耳をわざわざ見せつけてきた蜂須賀君はやっぱり俺の話を聞いていない。
誰も君の耳の話をしようとしていない。君の弟である浦島虎徹君をどうにかしてくれないかと頼んでいるのだ俺は。


「すまない、ちゃんと聞いているとも。浦島が、君になにか粗相を働いたのかい?」
「いいや」
「では何か不興を買ったとか?」
「いいや、それもない」
「じゃあ何をさ」



「天真爛漫な笑顔が眩しすぎてこの世の全ての生きとし生けるものに感謝したくなるんだ」



「そうだろう!」



大きく頷いた蜂須賀君のドヤ顔が止まらない。
可愛くって仕方のない弟がいる兄貴たちは、いつも大体こんな感じで話が通じない。会話ができない。


そう俺が思っていたのは、浦島虎徹君という存在に触れるまでの話だ。






「あの検非違使をぶっ倒して得た刀だからさぞかし陰険な刀が来るんじゃないかと心配してた頃が懐かしいわ〜」
「ああ…あの頃は僕も躍起になっていたよ。だから君の気持ちはようく分かる」



まず何より元気なところがよい。
主に対してもフレンドリーかつ、いい意味で遠慮のないストレートな物言いは返って好ましく映るものだ。俺は、包み隠さないで欲求や要望を伝えられると、応えたくなる性分だったらしい。特に万屋なんかに行くと、何でも買ってあげたくなる。
息子がいれば、こんな感じかなぁ、なんて思いながら。
あのフワフワな髪の毛撫でてるとめっちゃ癒される。自分でもビックリするぐらい。
褒めると得意げにするのも可愛らしい。「へへっ」という笑い方があんなに似合うのも彼くらいなものではないか?永続的に誉を与えてあげたい。
そう、浦島君には、"露骨にえこ贔屓したくなる"魅力があると思う。もう完全に言っていることが蜂須賀君と遜色ない感じになっているが、気持ちが理解できてしまう域にまでは来てしまっている。もしかして俺も浦島君の兄であるような気がしてきた。そうじゃない?やっぱり俺も審神者だし皆の主として一つ屋根の下に住んでるんだし、物凄く広い目で見れば俺も浦島君の兄になるのでは??



「毎日終わりの見えないこの戦いに心身参り気味だった俺に素晴らしい贈り物を天は与えてくれたよ。浦島君イズジャスティス。ヒーイズマイヒーロー」
「うんうん。同調しかしないよ君には。全くいい主だ」
「あーー浦島君を息子にしたい。していい?奥さんいないけど男手一つでちゃんと育てるからさ」
「それは駄目だよ。浦島を主の息子にされたら、僕が浦島に兄と呼んでもらえなくなるじゃないか」
「いいじゃないか別に!ずるいぞ!?」
「贋作のやつでも息子にしたらどうかな!?余ってるぞ!」
「なんでそういうひどいこと言うの!あとあんな息子いたら関係性を疑われるわ!」


とにかく浦島は駄目だ駄目だ! 蜂須賀君は頑なだ。現状、浦島君と一番近しい関係性なのをいい事に全く遠慮というものを知らない。挙句の果てに長曽祢君を押し付けて来るとは!


「もう何でもいいから浦島君の家族になりたい。息子で駄目なら俺も兄にしてくれ」
「主は虎徹ではないから駄目だ。そこは譲れない部分だからね」
「……………それはまあそうだ」
「理解ある主で嬉しいよ」
「………」


 となるとあとはどうすれば浦島君の家族になれるのか……。
息子も駄目、弟もだめ。
しかし蜂須賀君は浦島君を手放したがらない。ということはどうすればいい?どうす……


「閃いた」
「なにかな?」

「俺が蜂須賀君と結婚すれば俺は浦島君を"義弟"に出来るし蜂須賀君はそのまま弟と呼べてマルッと解決する」



付けてあげていた両耳まで真っ赤に染め上げて俯いたまま、蜂須賀君が顔を上げてくれなくなった。さびしい。




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