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物吉お迎え後


『霧深くにひそりと立つ集落がある。時の政府はその里を歴史遡行軍打倒の為の拠点にする手筈だったが、里の住人達はこれを拒む。時の政府への敵対を見せ、政府の一部隊を襲撃。第一部隊が所持していた玉を紛失したため、指定期日までに全ての"玉(ギョク)"を持ち帰りたし。玉が何であるかは詮索不要。見事達成した本丸には恩賞を与える』
今思えば、政府からの突然の命令は、恐らく「尻拭い」だったのだろう。
無くしたものを拾って来い。要約すればそんなめちゃくちゃな命令にも従わなければならない。

そして玉を全て集め終え、政府に献上し、代わりに渡されたのがこの刀。


「主様!他に何かやっておくべき事はありませんか?」
「いや……今はもう特にないよ。俺の所はいいから、長谷部や食事班のお手伝いをしてやってくれないかな?」
「分かりました!行ってきますね!」
「ああ、行ってらっしゃい…」


いい子過ぎる。

本心から裏表などないと言わんばかりの立ち居振る舞い、あの言動。
それに何だろう。キラキラしている。輝くオーラが見える。
全ての玉を集めるため、夜通しで行軍し、みんなと、自分の体に負担をかけていた今の状態には毒すぎる眩しさだった。
しかも「幸運を運ぶ刀」という触れ込みは、あながち逸話だけではないのかもしれなかった。あの子と共に作る刀装、今のところ全て金だった。


「……今度、一緒に宝くじでも買いに行ってみるか?」


まさかな。
とりあえず今はもう疲れた。報告書類をまとめたら、一睡しよう。


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