「我らの団ハンターは、とても素晴らしい人物なんだ」
聞こえて来た声に、筆頭ランサーは読んでいた資料の手を止めて声の主を見た。
――また彼の話かい?
フフ 思わず笑みを零してしまった。
彼が我らの団ハンターの活躍を、活躍を知らぬ者に話し聞かせる姿を見るのはこれで何度目だろう。
全くわたし達のリーダーは、よほど我らの団ハンターのことを特別に思っているようだ。
相手はギルドから派遣されてきた新兵。『我らの団』の説明する口を止めない筆頭リーダーの言葉に、目をキラキラさせながら聞いている。何かと評判の多いあのキャラバンのことについて興味があったのだろう。「それで、それで!?」とハンターの武勇伝の続きをせがんでいる。筆頭ランサーも、彼の話に耳を傾けることにした。彼の話す我らの団ハンターの話は、聞いていてとても楽しいのだ。
「…そして彼はシャガルマガラを見事打ち倒し、シナト村へ無事に帰還し任を終えたのだ」
「へえ…!あのシャガルマガラ討伐は、我らの団のハンターが!!」
「彼は本当に強い。…君も、機会があれば見習わせて貰いたまえ」
「はい!!」
ああ、確か彼がギルドの上層部に伝令役は自分が勤めると一歩も譲らなかったことがあったな。何でも、我らの団ハンターに「借り」を返す為に退かなかった、とのことだったか。筆頭リーダーらしい行動だと思う。借りを借りたままにすることは嫌いなのだろう。だがこれは推測でしかないが、恐らく理由はそれだけだったのではあるまい。
あまり強くは認めたがらないが、大切なたった一人の友人の為に動きたかったに違いない。
普段が口数少ないくせに彼の話になると饒舌になる。我らの団ハンターの話は、まだ終わりそうもなかった。やれやれ。
「…………おや?」
受け取った資料の間に挟まれていた依頼書。
書かれている内容、
成すべき仕事、
指定された目的地、
協力者スペースには、
「リーダー」
「む。先輩、何か」
「喜びたまえ、また我らの団ハンターに会えるぞ」
「な…ぁ!? わ、私は別に、そのような…!」
真っ青な装備 顔だけは真っ赤である
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