モンハン夢 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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男ハンターと筆頭リーダーが一緒に食事をする


ドンドルマは良いところだ。初めて来た時からずっとそう感じている。
小高い家々が連なった造形だと言うのに、どこか開放感を感じるような、そんな空気をしていた。石壁に囲まれてはいるが一歩外に出れば自然の多い地形だ。ドンドルマに住む人だけではなく、キャラバンの仲間たちもそこを良く気に入っているようで、中でも料理長は、新鮮かつ高級な食材を手に入れられることが出来たと、連日 料理に力を入れてくれている。とてもよいことだ。空気も美味けりゃ飯も美味い。
クエストに追われた慌ただしい毎日を送りつつ、ドンドルマの手助けをしている身としてはこうして腹が満ちることは幸せである。


「だからたまには一緒に食事しようぜ、ってことだ」
「……何故、私なんだ? すまないが私はクエスト中以外ではあまり人と共に食事をとったことがない。 ルーキーの奴を誘えば、楽しい時間を過ごせるのではな、」
「この流れでそんな事言うか? 言い分はどうだっていいから、ほらほら行くぞ」
「なっ、お、おい引っ張るな、なんだと言うのだ」


放っておいても間違いなく付いて来ないことは分かっているので腕を取って無理矢理に歩き出す。足を縺れさせながら付いて来る彼の珍しい姿に、道行く人たちは「あら」「おや」と目を真ん丸くさせていた。何故だろうか、とても気分が良いぞ。




『おや旦那いらっしゃいニャル。珍しい組み合わせニャルね』
「こんちは料理長。食べに来たぜ」
「…………………」


実はこう見えてアイルーが苦手だと言う彼は料理長を見て一歩後ずさりした。しかし後退するのは許さん。ぐいっと引っ張って隣の椅子に座らせた。


『筆頭リーダー、ムッツリしてるニャル。まさか旦那、無理やり連れて来たニャルか?』

まあ確かに無理矢理連れて来たのは事実だから言い訳はしないが、


「違…!無理やりと言うほど、嫌な気持ちはしていないのだが、些か不可解な状況であるなと…」



「……、……、…」
『旦那、食卓を拳で叩くのは行儀悪いニャル。喜びたいならいつもみたいにガッツポーズするニャル』


だってだってと駄々を捏ねようとした俺の目の前にデカ盛りのチャーハンが置かれた。俺と話している間に料理長はすでに料理を作り終えたらしい。さすがだ。


「そう言えばお前は何を注文し……」
「………なにか」
「いや、魚介類とかイメージどおりだなって」
「そ、そうだろうか。………私が君に持たれているイメージとは一体……」


妙な顔をして、心持ち料理長から身を離しながら食べ進める彼に置いてかれまいと俺もフルフェイス装備を取り外し、一気にかきこむ、かきこむ、かっこむ!
「…………」
…ん?隣から視線を感じる。

「どうしたんだ?そんな変な顔して」
「……君の方こそ、思っていた以上にその…………」
「その?」
「…………豪快な食べ方をするのだな」

こんなこと言ってもいいのかな。そんな表情して言った言葉に笑う。まったく、俺には遠慮なんてしなくていいんだぞと髪の毛わしゃわしゃしながら言ってやりたい。

「ハハハ、よく言われる。一気にかっ込み過ぎだって。 でもうちの団長には、食べっぷりが見てて気持ちいいぞって褒められるぜ」
「ほう…」

あれやこれやと我らの団メンバーたちの話や冗談を交えて話し聞かせる。
時たま相槌を打ちながら、彼は生真面目に話に耳を傾けてくれた。そして俺は、一つ彼に関して気が付いたことがある。これは俺がずっと喋っていたのを聞いていたからではないと思う。


筆頭リーダーさんは、物を食べるスピードが遅い。





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