モンハン夢 | ナノ
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男ハンターと筆頭リーダーがギルカを交換する


郵便屋に溜まっていたギルドカードを整理していた時、ある事に気が付いた。

 ――あいつは俺にギルドカードを渡してくれないんだろうか?

ドンドルマの中央広場で、常時険しい表情で町人たちの相談事を聞いている筆頭リーダーこと"友人"のことだ。
以前、彼は言っていた。「仲間の3人以外からギルドカードを貰ったことが無い」と。
ハンターとして特別な人付き合い等は最小限に止めることとしても、彼は最小限に止めすぎである。

しかし、仲間である筆頭ルーキーや筆頭ガンナー、筆頭ランサーには自身のギルドカードを渡している。 ならば、曲がりなりにも彼の友人という立場である自分がギルドカードの交換を申し出たとしても、なんらおかしな事はないだろう。



受け取ったギルドカードを一旦郵便屋に預け、今はドンドルマ周辺地域の現状報告を聞いている筆頭リーダーに近寄る。
ガシャン 鎧の音を立てながら近付けば、彼はこちらを振り返った。リーダーに報告に来ていた町人が下がって行く。追い立てたつもりはなかったのだが、フル装備に身を包んでいたから威圧感を与えてしまったのかも知れない。


「――ああ君か。 何か」


"友人"同士になっても相も変らぬ固い口調には笑ってしまう。
俺にもそう友人と呼べる者が多くいるわけではないが、もう少し柔らかくなってくれたっていいだろうに。おっと本題がずれそうだ。結論は早めに口に出しておこう。


「俺とギルドカードを交換しよう」


 何故か固まられてしまった。


「………何故だ?」
「? 俺がお前のを欲しいからだぞ」
「い、いやそうではない。何ゆえ私のギルドカードなどを欲するのかと訊いている」
「………敢えて言うなら、不公平だから?」
「……不公平?」

何に対して君が不公平だと感じねばならないんだ?

怪訝そうな表情が返って来る。一筋縄じゃくれないだろうとは思っていたが、こっ恥ずかしいことを言う必要があるような気がしてきた。

「…仲間だって言う筆頭ハンター達はお前のギルドカードを持っているのに、友人である俺が貰えないのはずるいだろ! ずるくは感じないか?!いや絶対にずるい筈だ!」
「な…!?そ、それはつまりなん、」
「じゃあ逆に訊ねるが、もし俺が筆頭ルーキーや筆頭ガンナーたちにはギルドカードを渡したのに、お前一人にだけ渡さなかったらどう感じる!?」
「…………………」
「……」
「…………………………言い難いことだが、」
「おう」
「とても、不満に感じた」
「そうだろう!」


今の俺もそれと同じ気分だ! だから交換しよう!
半ば詰め寄るように顔を近づければ、
「わ、分かった、ではこれが私のギルドカードだ」
そう言って携帯ポーチの中から、やけに褪せたカードを持ち出してきた。


「……経年劣化してないか、このカード」
「………仕方ないだろう。その…渡す相手がだな、」
「いやありがとう!嬉しいぜ!んじゃ、これが俺のカードな。はい」
「! あ、ああ」
「失くすなよ? 俺も『友人』の分類に入れて失くさないようにするから」
「…………………」
「そう照れるなって」
「照れてなどいない!他に用がないのならもう……」
「あ、もう昼も近いしこれから一緒に食事しようぜ!」
「なにぃ!?」



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