ディーノ長編 | ナノ
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KSI社に突入したオプティマスたちに突きつけられた事実は、彼らがもう人類にとって「必要のない存在」であることと、新しく発見された可変金属である"トランスフォーミウム"の力に魅入られた人間たちがそれを使い、新たな"人工トランスフォーマー"を生み出したということだ。
研究施設を破壊し、逃走を計ったオートボット軍を追いかけるようにして、
フレイトライナー・アーゴシー、赤いパガーニ・ウアイラ、他にもシボレートラックなど量産されたトランスフォーマー達が迫り来る。
道路はたちまち戦場と化した。不運にもトランスフォーマー同士の戦いに巻き込まれる形となった一般人の乗る車が、次々に爆破されてゆく。


応戦するよりもまず、逸早くこの場から脱さなければとオートボット達は反撃もせずにただひたすら前方へと向かって爆走している。
あちこちで起こる爆発に、ケイドやテッサたちは悲鳴を上げていた。

「ディーノ、ディーノ」
≪なんだよ!≫

「おかしくないか、あの車両たち」
≪はあ? おかしい?≫
「何か生気のような…意思みたいなものを感じる。よもやとは思うがあれは……」


ジークの言葉に促され後方へとセンサーを向けたディーノと、ジークの眼に、飛び込んで来た姿はもはやフレイトライーナーなどではなかった。


≪――オプティマァアス!!≫


――大きな金属の身体
不釣合いにパーツを重ねられたようなその姿には、"彼の者"の面影がある。

ギョロリと動いた赤い眼が、一目散に前を走るオプティマスを捉え、追いかけ、飛び掛った。

「うわあっ!!」
「きゃあああっ!」
「うぐっ!」

オプティマスの車内から、ケイドたちが外へと投げ出される。

≪! チッ!≫
「ディーノ!?」


そして道路に投げ出されたテッサの身体を避けようと急旋回したディーノの車内からもまた、ジーク自身が外に放り出されてしまう。
地面へと強かに頭を打ちつけた箇所が痛む。

「ディーノ…!」

ディーノはそのまま道路に火花を散らせながらブレーキを掛けて、脇に停止した。ディーノとジークとの間に、距離が開いてしまう。
他のオートボット達は別のトランスフォーマー達に追われ、先行してしまっていた。

ここに残っているのは、オプティマスとディーノのみ。


≪…! お前は!!≫


オプティマスは、自分に襲い掛かってきた人造トランスフォーマーに何かを勘付いたようだった。そして手持ちの武器を展開し、掴みかかる。大きな金属音が、辺りに響く。彼らが一歩地面を踏み締めるたびに、そこには大きな亀裂ができる。

「テッサぁ! そこにいちゃ危険だ!草むらの方に逃げろ!!」

父親の言葉に促され、言われた方向へと逃げて行ったテッサに更なる恐怖が与えられた。

オプティマスと人造トランスフォーマーは取っ組み合い、転がりながら、相手のスパークを潰そうとしている。


≪スパークのない、抜け殻め!!≫


オプティマスのブレードが、人造トランスフォーマーの胸を貫く。だが、


≪…そうだ オレにスパークはない。 だから恐怖を感じない!!≫


形勢が、再び逆転してしまう。






≪オプティマス…!!≫

腕のカッターを展開させたディーノがオプティマスの助太刀に向かおうと走り出す。


「……、…  …!!? ディ、!」


――そのディーノの背後から飛んで来たミサイルによって、彼の、左腕が、吹き飛ばされて、



「ディーノ!!!」


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