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▼ 手は放さないと決めている

手配書らしき紙を取り出して、「間違いない!」と確認すると海兵は改めて銃剣を持ち直した。島はすぐに銃弾が飛び交う戦場となる。 部下に幾つか命令を下して、ナマエの小さな身体を押し「いいか、良いって言うまで絶対に外に出てきちゃ駄目だよ!」「う、うん…」不安な顔をさせている。海兵の奴らめ…!と憤慨し、アジトの扉を閉めて前に立ち塞がった。武器を構えて飛び込んで来る海兵達を叩きのめす。大きすぎる身体は強みになれば、恰好の的にも成り得た。繰り出される剣を腕で受け止めれば血が大量に噴出す。部下たちの悲鳴や海兵の叫び声なんかが綯い交ぜになってよく分からない。痛みに悶えながらも、デュバルは海兵の首を手でへし折った。同僚の姿を見送った海兵の一人が恨みがましい目で睨みつけてくる



「この…! 観念しろ! "黒足のサンジ" !」



「………はあ?」




こいつ今、誰の名前を口にした?


一瞬呆けた隙を突かれ腹部を刺される。「ぐふっ」耐え切れず口から血が流れ、「ヘッドォ!!」と慌てて駆け寄ってくる部下の姿が見えた。
それよりも確認しなくてはいけないことがあった。



「ま…待て お前ら海兵は突然、何が狙いで…」
「海賊のくせに惚けるのか? 先日のエニエスロビー襲撃事件をよもや忘れたわけじゃないだろうな!」
「は?エニエスロビー?それってあの…司法の島とかって奴かよ」
「テメェ何言ってんだ海軍!おれ等あんなトコ行ったどころか見たことすらねェよ!」
「他の一味の姿が見えんな…しかしお前!」


デュバルをビシっと指差した海兵の隣に、海軍コートをはためかせた男が立つ


「まぁ捕まれと言って大人しく投降する海賊がいれば海軍も苦労しない…。 "黒足のサンジ" 覚悟しろ」

 まただ


「…はぁ?"黒足"ィ?」

部下たちもそこに反応したようで、「何言ってんだこいつら」と顔を歪ませた。

「おいおいおい海軍さんよぉ 人違いだろそれ!」
「此処にいんのはデュバルの旦那だ!」
「それは偽名か?――まあどう惚けようと無駄だ。この手配書の写真とお前の顔、間違えようがない」
「は…?手配書?」



海兵の懐から取り出された一枚の手配書
その中央に載っている顔写真を見て、デュバルたちは絶叫を上げた



「……オラが載っとるべっちゃ!?はぁ!?い、いいいつ!?いやなんでずら!」
「ど、どどどういうこったコリャア一体!!」
「ヘッド、いつの間にこんな…!」
「ち、ちが!オラは違うべっちゃ!」



やはりな。と言う顔をした海兵は満足そうだ

「分かったかな? なら大人しくしたまえ」
「……いやいやいや!可笑しいだろ!」
「そ、そうだぜ!第一名前が違う!」
「それにヘッドがそんな7000万もの懸賞金つくわけあるかァ!」
「…テメェ等そりゃあどんな意味ず!!!」




「………デュバル、さん?」




「!? ナマエ、ちゃん!?」
「お、おいナマエちゃん何で出てきたずらか!」
「デュバルさん達の悲鳴が聞こえてきたから…!し、心配になって…」


「ほう…女児誘拐監禁もしていたのか?下衆め…」
「誘拐…?違います!デュバルさんはそんなことしません!」
「言わせられているだけだろう…人質に危害を加えないように左右に散れ。一斉射撃だ」
「!ナマエちゃん!」



取り囲まれては脱出出来なくなる。
デュバルはナマエの身体を持ち上げて肩に乗せた。「デュバルさん!?」「テメェ等!逃げっずらよ!急げ!!」「へ、へい!!」肩の上でナマエが居を正すのを待たずしてデュバルは走り出す。追跡しようとした海兵達の間に部下が煙幕を投げるのを見て、森の中へ入って行った。なるべく撹乱するように逃走して海に出なければ。海に出てトビウオ達にさえ乗れば、逃げ果たすことは可能な筈だ



「どうしてデュバルさんが追われなくちゃいけないの!?酷いよあの人たち!」
それに、デュバルさんに怪我までさせて…!


ナマエに心配された事でデュバルは少し気が軽くなった。未だ腹と腕からは血が微量ながら流れ続けてはいるが、伊達に身体が大きく血の量も多いわけじゃない。走れなくなることはまだなさそうだ、と考えていたデュバルの背中を 巨大な高熱が襲った



「ぐ、ウ…ッ!?」
「デュバルさん!!!!」
「ヘッド!!」
「デュバルの旦那ァ!!」



背中を 撃たれた。見えない視界の中で闇雲に撃った一発だろうか。普通の 弾の 一回り大きな 銃弾で


――痛い 熱い イタイ アツイ 何で どうしてこんな 痛い、イタイよ


背中が燃えるように熱い。貫通はしなかったようだが、銃弾が胃の中を引き摺りまわっているような感覚がする。
デュバルは溜まらずガクリと膝を折りそうになった。しかし




「デュバルさん!!やだ、やだ死なないでっ」






( だめだ、ナマエちゃんが ないている )




「へい…き、だ…!はやく、海へ…!」
「デュバルさ…! わ、わたし降りて走るから!下ろしてデュバルさん!」
「…あ、ああ…ごめんなナマエちゃん、」



部下たちの力を借りながら、ずっと気遣わしい表情を浮かべて走るナマエの隣を駆け、海で待機していたトビウオ手配班の者達の青褪めた顔に向かって「すぐに出るぞ!!」と号令を掛けた。


地図から見てシャボンディ諸島の少し西寄りの海に設置してあるデュバル海上アジト
どうにかそこまで、 振り切らなければ



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