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▼ 03



結局、夕飯の時間にロロノアのゾロは姿を見せなかった。
とっくに城の扉の前でくたばっているか、運よく切り抜けられたってクライガナ島の前に立ち塞がるのは大海原だ。あんな壊れた小船でも、ましてや木片などでは切り抜けられるはずがない


とりあえずロロノアのゾロの為に作っておいた料理はラップを掛けて置いておき、
その他の空になった皿をキッチンで洗っていると、ナマエの姿をフワフワと浮きながら観察していたペローナが口を開く




「…お前、この城でずっと何やってるんだ?」
「オレはこの城の管理人だった者だ」
「ふーん……知ってるぞ、私。この島で7年前戦争が起きたんだって?」
「よく知っていたな、こんな辺鄙な場所の戦争のことなんて」
「それでよく生きてたなお前。島にいなかったのかよ」
「……いや、いたよ」
「……ふーーーん………。で、でも、ただの管理人な割りには、料理とか……その……う、美味いモンだなぁクソが!」
「……褒められてるんだよな? ありがとう。癪なことだが、家事の腕はミホークがココに来てから上がったようなもんだがな」




このペローナと言う少女、奇妙な風体で怪しさ爆発の霊魂を引き連れ口も悪いが、良い子なのかもしれない

私の力を見せてやる!と宣言され、拭き終えた皿を次々と霊魂達に運ばせている。棚の所定の位置に戻された皿たちを見て、どうだ!褒め称えろ!と言わんばかりのドヤ顔には少し和まされた。

ミホークが、他人といる姿を見た時はどうなることかと思ったが、存外ペローナとは上手くやって行けそうな気がする。
いつまでの期間ここにいることにしてるのかは知らないが









そして食器の片付けが終わり次は掃除でも、とキッチンを出れば、バン!と、この城の重い扉が開かれる。
何事かとペローナと共に扉に目をやれば、影が1つ。ヒューマンドリルではない。アイツ等はミホークがこの城にいれば決して近付かない知性を持っている。ならば…



「…はぁっ、はっ…」
「お前は…ロロノアの…」
「…!…おい、…鷹の目の野郎は、どこだ…」
「………」



この男をこのまま通してもいいものか。
曲がりなりにもこの城の中心柱でもあるミホークに、こんな危ない男を近づけても。
まあミホークならば大概の揉め事は意に介さないが…



「…どうした?海へ行くのは諦めたのか?ヒヒ達にやられて帰ってきたのか?」
「ちがう…!ヒヒなら、全部たおした!」
「…はあ!?」



ロロノアの言葉に驚いて、慌てて窓から外を見てみれば、城前まで付いてきていたのだろう、夥しい数のヒューマンドリル達が血を流して倒れている。ヒューマンドリル達の体はよく見れば傷だらけで、その傷は全て刀痕だった



この男、あれを全部…
ナマエは顔を引き締める。ロロノアの前まで歩み寄った



「…ミホークは、自室にいる。そこの階段を上がってすぐの扉だ」
「!」



ナマエが指差した方向に、ロロノアは迷い無く歩いていった。きっと、何かとんでもない事を言い出しそうな雰囲気であったが、それを言われるのはナマエではない。ミホークだ。ミホークがどうにかする。だから自分はもう首を突っ込まない方がいい

「さーて」ナマエが踵を返して再度キッチンに帰ろうとしたのをペローナが咎める



「おい!掃除はいいのかよ!」
「その前に、料理を温め直さないといけなくなったからな」



良かった。料理が無駄にならずに済みそうだ





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