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▼ 可愛いあの子はどっかおかしい

突然家に押し入って来たデュバルからの「お茶友達になってください!」のお誘いに「あ、あの時のお兄ちゃん!」と顔を明るくさせたナマエが二つ返事で「うん、いいよ!」と了承なんてするものだから、デュバルの部下たちは一様に「えー!?」と声を上げた。そう、周りの反応なんて皆こんなものだ!「えー!?」と顔を細長くさせ、舌を出して、上級者になれば目玉を飛び出させて驚くのが通例なんだ









村人を脅して仕入れた情報によれば、ナマエなる少女は天涯孤独の身の上で最近になってこの村へ現れたのだと言う。知らぬ間に村はずれの家に住んでいて、両親や兄弟と言った人間の姿はなく、彼女独りで住んでいるらしい。年は12になったばかりのようだが、デュバルと比べなくても背丈は平均の身長よりも小さいように思う。栄養が足りていないから、体の発育が遅れてるんだと思うよ、とは村のババアの言葉だ。
それを聞いてデュバルが真っ先に起こした行動が、ナマエに食糧を分け与えてやることだった



「ナマエちゃん!」
「デュバルさぁん!」

こんなデュバルでも誰かの来訪が嬉しいのか、ナマエはこれでもか!と笑顔で迎えてくる。ある日突然、勝手に、押し入って来た、嫌われ者マフィアの、醜悪デュバルだったとしても



「村の奴らから奪っ…譲って貰った米と野菜だ!コレ食ってくれ!」
「わぁ!ありがとう!」
「はわああ…か、かわいすぎるぬらべっちゃあ…!」
「デュバルさん、ほんとう?なら嬉しいなあ」
「嫁にさすてぇー!!」
「ヘッド!欲望が駄々漏れだ!!」


体が大きけりゃ声も大きい
デュバルの雄叫びは、村の外れにあるナマエの家からでも村に響いたようで
村人たちは頻りに「おい、あのナマエって言う子はデュバルの野郎にどうされたんだ…?」「顔が可愛いし性格もいいから気に入られたんじゃねぇのか?」と噂される



あの日から、デュバルが一方的に会いに行って何かを食べて話すだけの穏やかな日々が続いた
村人たちも最初はナマエの身を心配していたが、デュバルがナマエを構うようになってから自分達への悪質な取立てが少なくなったお陰で今は感謝していた


毎日会いに行っても楽しそうに笑うナマエに、すっかりデュバルはご執心だ
自分の顔を見ても離れて行かない少女なんて、とても珍しい


「なあなあナマエちゃん」
「なあに?」
「どーすてナマエちゃんはオラのこん顔さ気持ち悪がらねぇぬら?醜くねぇんだか」


言っててちょっと心が傷ついた。

しかし問われたナマエは大きな目を真ん丸く見開いて、ぽてんと首を傾げた


「デュバルさん、かわいいよね?」

「えぇーっ!?」
「ぬらー!?」
「ええええ!?」



どういうセンスしてるんだ君!!と堪らず部下の一人が吠える
デュバルの大きな声には驚かないナマエだが部下のその声にはビックリしたらしい
小さな体をビクつかせ、「だ、だってほんとにそう思うもの…」と眉を下げた



「こりゃ将来大物になるぜ…ヘッドの嫁さんにピッタリだな…!」と部下たちは将来の奥方になるやもしれない少女に向けて土下座した
デュバルは未だに嬉しさで固まったままである



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