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▼ ヒカルゲンジも真っ青






それはデュバルが海軍本部に追われることになる6年前の話

片田舎の寂れた村でマフィアやって村人たちを脅して好きな物をせしめる、楽チンで割のイイ道楽稼業をやっていた
生まれついて持っていたのは醜い顔と常人の男より何倍も大きな身体
体躯に見合った力を持っていたデュバルは子分をその力を持って従わせていたし、
村人たちはデュバルの身体とおぞましいと評す顔に恐れていた
18にもなって、今さら顔の醜悪で怯えられても気にすることはなくなった(もしかすれば感覚器官が麻痺していたのかもしれない)
近寄れば女は怯え怖がるし、泣かれては苛々する
面倒だな、と思っていたのだ


だがしかし、やはり例外とは必ず1つは存在するもので




「きゃっ…!」
「…ん?」



通行道で、大量の果物が入った袋を抱えていた幼い少女が転んだ
部下がすぐさま「邪魔だガキィ!」と吠えたせいで、少女は顔を伏せたまま体をビクつかせる

その姿に少しばかり心を動かされたわけではないが、



「オイやめろ 子どもまで脅す必要ねぇ」
「す、すいやせん…」



地面に散乱した林檎や蜜柑やらを小さな手で掻き集める子どもの傍にしゃがみ込み、一気に果物を掻き集めた。「オラ、コレでいいか」「…あ…」しゃがんでも少女からすれば山のように大きいデュバルを仰ぎ見た少女は、可愛らしかった。思わずデュバルが「はぅっ!?」と言ってしまったぐらいに可憐だったのだ



「ありがとう、素敵なお兄ちゃん!」
「…!」



かわいい。花が綻ぶように笑うとは、こう言うことを言うんだ。しかも、すてきっていわれたぞ?

女からの真っ直ぐな笑顔など生まれて一度も見たことがなかったデュバルは「え…、あ、べら…」と言葉にもならない単音を繰り返す

広げた袋の中に拾った果物を一向に入れようとしないデュバルに少女は疑問を抱いたのか、
ヒョイっとデュバルの手からそれらを受け取ってもう一度「ほんとにありがと!」と手を振り駆けて行った






「……ヘッド?どうしたんすか」

「……見つけだっちゃ……」
「え?ヘ、ヘッド?」
「オラのマイエンジェル……!!」
「えー!?」


去り行く後姿でさえ、天使の羽が生えてるように見えた!
「これが巷に聞く恋ぬらか!!!」「ちょ、正気っすか!?」「オラのマイエンジェル(はぁと)の素性を即刻調べるんなら!」村人たちを脅して訊け出せば一発だろう。少女が駆けて行った方角をデュバルは凝視した。姿はもう見えないが、それでもまだ心のどっかがドキドキとしている。そうか、これが恋、そして一目惚れという奴ぬらな…!!









デュバル18歳 そして後になって知った少女の名、ナマエ12歳

デュバルの無謀な恋であるかのように思われたが、存外世界とは不思議に出来ている



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