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「#幼馴染」のBL小説を読む
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ナマエが作ったボンゴレ入りスパゲッティーはとても美味しかった。宿の女将も大層気に入ったらしく「厨房で働かないか」とナマエに頼む始末。よもや受けたりしないだろうな、とペローナがジト目で見つめていると、「悪いが、手のかかる奴の面倒を看ないといけないんでな」とナマエは答えた。鷹の目のことを"手のかかる面倒な奴"と言えるこいつもなかなか凄い奴だよな…。最後の一口を食べ終わり、「…ごちそうさま」を言えば おう、と笑顔が返って来る。


「……なぁ、それでこっからどうすんだよ」
「あぁ… ミホークが来てくれるまではこのまま待機を続け…」


る、の言葉に被さってくるように、宿の外から大きな爆発音が聞こえて来た。
「!?」「うわっ」「きゃ、」
宿屋全体を揺らすような震動が襲い、立てずにいた女将をナマエが助け起こす。



「何なんだよ!もうっ」
「金属が打ち合う音が聞こえるな……」
「海賊が襲って来たんじゃろう!」
「海賊?」


白ひげの死により一つの海賊時代が幕を閉じ、新たな時代を切り開かんとする海賊たちが新たに生まれる
昨日の海軍が言っていたように、この辺りの海もまた荒れて来ているらしい。女将は肩を震わせながら「最近毎日のようにやって来るんだよ…海軍が警備を強化しても意に介さない。将校クラスの海兵が来てくれないから!」マリンフォードの一件により本部側に召集されている将校位が多いのだろう。辺境の島に派遣されて来る将校の数が間に合っていないのだ。
人々の悲鳴も次第に大きくなって行く。開け放たれている宿の窓から煙のような臭いが流れ込んで来たのを見ると、海賊が街に火か大砲かを放ったのかも知れない。

ナマエは駆け足で泊まっていた宿の部屋に戻り、ミホークがくれた護刀を持って帰って来た。「おい、何するんだよ」とペローナが焦って声をかければ、「万が一この場所に押し入って来たら、ペローナ お前が何とかしてくれ」と言って外に出ようとするではないか。


「ま、待って!危ないだろナマエ!」
「? 大丈夫だ。俺は見た目通りなかなかやる男だぞ」
「そ、そうじゃないだろ! わざわざお前が出てかなくても、海軍の野郎たちに任せとけばいいじゃねぇか!」


だが言ってもナマエは考え直さない。「よく足を運ぶ島なんだ。少しでも早く治安を取り戻してもらわねぇと」 そう言って外へ飛び出してしまった。
ああもうあのバカ! 言っても聞いてくれなかったナマエに憤慨するペローナの服の裾を掴みながら「お嬢ちゃん、強いのかい?」と訊いてくる女将に「ま、まぁな!」と答えてやるしかなかった









案の定だ。街の広場らしき場所で、海軍と海賊が交戦している。港が近いこの場所では海の方から次から次へと海賊たちが押し寄せていた。一つの海賊団ではなさそうだ。既に停泊している二隻の船と、巨大なガレオン船がもう一隻この島の港を目指している。同盟を組み結託した者同士ではなさそうだ。海軍と戦う傍らで、別の海賊同士で剣を交えている姿も見える。

物陰に隠れながら様子を見ていると、見た顔の海兵がナマエの存在に気が付いて近寄って来た。「民間人はすぐに家屋に避難してくださ……あれ?貴方は…」確か昨日、海に出られない旨を教えてくれた海兵の男だ。 



「よう、昨日はどうも あの海賊たちは何が目的でこの島に?」
「海賊の目的と言ったら略奪でしょうが…最近の海賊は、ただ力を揮い、売名目的で目立とうとしているような気がしますがね」


最近多いんですよ。 この海兵はあまりあの海賊たちの襲撃を脅威とは考えていなさそうだ。連日の仕事で疲れているにしても、あまりやる気が感じられないのは如何なものか。
「ところで、何故こんな所に?」 海軍側に手を貸そうかと思って、と伝えれば驚いた表情で「…珍しい事を言う方ですね」と言われた。


隠れて話をしていたが、海賊たちに勘付かれたらしい。
「あそこに隠れてんぞー!!」と言う声が聞こえ、海兵が舌打ちをした。

「あーあ…鬱陶しい」 海兵のその言葉が、やけに耳に残った





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