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▼ 13

港にまで駆けつけたナマエとペローナを待ち構えていたのは、規制標識と海軍だった



「 海に出ちゃ駄目なのか?」
「民間の方ですか?商船ではなく、個人の?」
「ああ。俺の所有船だが…」

「なら申し訳ありませんが出航の許可は出来ません。
マリンフォードでの白ひげ死亡ニュースにより、海には今海賊たちがのさばりつつあります。今海軍が総力を上げ取り潰しにかかっておりますので、航海の安定を約束出来るまで個人船での出航はお控えください」
「はあぁぁ!?んなのいつになるか分っかんねーじゃねぇかよ!」
「…やめとけペローナ 大人しく従おう」
「で、でも後ろからまたさっきの奴らが…」
「おおそうだったな…しょうがない、こっちだ」
「お、おい!」



また駆け出したナマエの後を追ってペローナも付いて行く。
その二人の背中を見送った海兵が、「…あの女、どこかで見たような気がするな…」と怪訝な目で追っていた





港を外れ、人通りが閑散としてきた裏路地を駆け抜ける。
ナマエの肩に担がれている紙袋から、買った品々が零れ落ちやしないかと後ろを走っているペローナはハラハラとしていた



「なあおいって!何処まで行くんだよ!」
「とりあえず、今日はこの島でやり過ごすしかない。電伝虫を使って連絡するから、ミホークの迎えを待とう」
「は?鷹の目がどうして?」
「アイツは一応海軍お抱えの七武海だからな。ミホークの船なら、海軍も許してくれんだろ。多分な」
「曖昧だなぁ…大丈夫なのかよ…」



それでも大人しくナマエの後ろを付いていると、ナマエは小さい宿のような場所に入って行った。



「今日はここに泊まろう」
「マジかよぉ…汚くないか?ここ…」
「おいおい、そう言うことをあんま口にするなって」











「本当に汚い部屋だな。掃除したくなる」



長年培ってきた管理人としての血が異常に騒ぎ出す程のレベルでなっていない部屋だ。
なるべく宿賃をケチったせいで最下位の部屋しか取れなかったせいなのだが



「てか問題はそこじゃねーよ!!どーして一部屋で一緒に寝るんだ!!」
「仕方ないだろ。俺たちと同じく、足止めされてる旅人で何処の宿屋も一杯なんだから」
「だ、だからって…!ベッド一つしかねーし…!」
「俺は床で寝るから、ペローナがベッドを使え」
「はぁ!?」
「それに、海に誓って俺はお前に手は出さないから、安心しろ」
「そ…!」
「俺が信用出来んか?」



そんなことは、



「ない、けど…ホロホロ…」
「はは、やっぱりそうしていると年頃の娘さんって感じだな!」
「この状況で!そ、そんなこと言うな!」
「おおっと、スマンスマン」



じゃあそろそろ寝てろペローナ。俺はミホークに連絡してくるから



そう言って部屋を出て行ったナマエに、ペローナは再度顔を赤らめながら、上着を脱いでから急いでベッドの中に潜り込んだ。
なんだアイツ、なんだアイツ!繰り返す言葉は罵倒にもならなかった


「…?」


そこでふと思う。さっきのナマエの、「手は出さないから安心しろ」の言葉
これはもしかして、鷹の目がいるから、だったりするのだろうか


「…それとも何か…?アイツはこの可愛いアタシを見ても何とも思わねぇ枯れ男か…!?」



怒りが可笑しな方向に転がって行ってしまわない内に、早く目を瞑って寝てしまえ!



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