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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 12


「いいかペローナ 上限金額を越える買い物は一切許さないから、そのつもりでいろよ?」
「はぁ!?ケチケチすんなよ!どうせ金なんか死ぬ程持ってんだろうが!」
「駄目だ。無駄遣い禁止」
「もうっ!」



ナマエの言葉に、ペローナは手に持っていたフリルが多めにあしらわれた服を渋々元の位置に戻した。
もう散々、他の服屋で買い物をした後だったとは言え、多少のオーバーぐらい目を瞑ってくれたっていいのに…ペローナはブスくれた顔で、前を歩き、他に買わなければいけないものを確認しているナマエの背中を見た



「ゾロの服も買ったし、ついでのミホークの服も買った、切れてた洗剤も業務用のを手にいれたし、トランプも新品を購入出来た、後は…食材だな」



全ての荷物を持っているナマエは小さな紙に書いたメモを確認して声を上げた


そのナマエにペローナはブーイングする。
長時間の船旅の影響もあって疲れていたのだ。えー!?、と非難の声を上げて訴えた



「まだ買うのか!?私はもう足が限界だ…」
「浮いてたのにか?」
「き、気分だ!!」
「しんどいならそこのベンチに座ってこの荷物を見ててくれ。オレはそこのスーパーで食材を調達してくるから」
「…分かった」
「すぐ戻る!」



手に持ち、肩に抱えていた大きな紙袋をベンチに置いただけでベンチ全体が軋んだ。
どんだけ重いモノ担いでたんだ…。ペローナは、店内へと消えて行ったナマエの背中を見てゲンナリした。









――思えば、ナマエは変な男だ
突然現れたペローナとロロノア・ゾロを大した不満や反論もしないままに面倒を看るなど、普通の男ではそうは行かない筈
なまじ、ペローナが近くで見てきた大人の男たちはモリアやアブサロム、ホグバッグと言った面々だったのも要因となる。


本当に何の見返りもないままに、人の面倒を看れるものなんだろうか。
だとすれば、本当のお人好しだ



「……」



ペローナはもう一度心の中で、(変なおとこ、)と呟いた。

でも、嫌いじゃないな










「お嬢ちゃん、1人でお買い物かい?」
「ん…?」



背後から掛かった男の声にペローナは振り返る。


明らかに「おれ等海賊です」と言った風貌の男たちが1人、2人、…ぞろぞろと5人現れペローナを取り囲んでいた



「なんだぁ?お前たち」
「可愛いのに、えらく沢山モノを買ったんだね」
「は?違ェよ、これは…」
「とても重いんじゃねぇのか?おれ達が家まで運んであげようか」



面倒くさいのに絡まれちまった!

ペローナは立ち上がって男たちを睨みつける。フツーの男たち、こんな奴ら一捻りできる



「一回だけ言う。目障りだから早くアタシの前から消え失せろ」
「は?」



何言ってんの?お嬢ちゃん



目がそう笑っている。腹が立つ。
ホロウを呼び出して脅かしてやる。ペローナが傘を閉じ、手を振り上げた



そこへ、また新たな声が飛び込んで来る




「そこの男共ウチの子にちょっかい出してんじゃねーぞクソがァ!」




「ナマエ…!?」

「な、なんだあの男!」



折角スーパーで購入した食材の入った袋を地面に投げ落とし、懐から出立の際に鷹の目から渡されていた護刀を抜き出してナマエは男たちの1人の肩を切りつけた。


腰から下げていた剣を抜いて応戦する男たちを小さなナイフだけで物怖じさえしていない。しかしナマエが狙うのは相手の肩ばかりだ。

瞬く間に男たちの腕と肩を使い物にならなくさせ、「大丈夫かペローナ!」と息を切らして駆け寄ってきた。
そんなナマエをペローナはおっかなびっくり見つめる



「おまえ…強かったのか?」
「…ん?そう思ったか? 誰かと戦う時はまず肩を狙えとミホークに教わってそれぐらいしか出来ないがな。 とにかく、怪我はないんだな?」
「え、あ、あぁ」
「なら早く島を出よう。こいつ等、ミホークの言っていた"海賊"だ。前までのこの島は海賊なんていない穏やかな場所だったのに。他の海賊の奴らに目を付けられてもマズイ。行くぞ」
「あ、ちょ…!」



落とした食材を拾い上げ、大きな袋を4つも担ぎ上げて、ナマエは船着場の方へと走り出した。

慌ててペローナもその背中を追いかける。
気が動転して、思わず浮くのを忘れて久しぶりに地面を走った



――ナマエって、意外に口が悪くなる





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