一撃 | ナノ
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サイタマ


先生の"友人"と思われる男性が(先生が明言しないので推測の域を出ない)先生(と俺が住まわせて頂いている)の住む部屋に訪問してきてから20分
来客を出迎えに行った俺とその男性が目を合わせてから19分と35秒
男性の名前が『ナマエ』であり、サイタマ先生と中学からの同級生であることを俺が知ってから17分と23秒
紹介には紹介で返さねばと俺が名前と生い立ちと自らの体の構造を話してから15分と48秒
サイボーグである旨を伝えて、ナマエさんが何故か身体を硬直させてから 早14分が経過した。


固まってしまったナマエさんの心配をする俺に「あー、基本放置でいいよそいつは」と先生が言ってくださったが本当にこのままで良いのだろうか?なにやら目つきがおかしくなってしまっている気がするのだが。


「…さすが先生のご友人の方ですね。風変わりな人だ」

「まあ、ナマエはなー、変な奴だよ。うん」

「…?」

「昔から、ずーっと変な奴なんだ」

「それは…」


 どう言う意味で、



急に両手を拘束される。反応したセンサーに映ったのは、起き上がってきたナマエさんの両手
何やら呼吸や脈拍がおかしい気がする。"興奮状態"にあるようだ


「ナマエさん、どうされ…」

「ジェノス君、唐突でほんと悪いんだけども」

「……?」

「触 ら せ て く れ な い か」

「な――!?」



気が付いた時には床に押し倒されていた。
「?」「??」意味も意図も分からない。危害を加えられてるわけではないらしく、反撃に打って出る必要もなさそうだが、やけにナマエさんの眼が恐ろしく感じるのは何故だろう。



「こ…このパーツは…!超合金仕様なのかと推測していたが実際は伸縮性のある強力なポリカーボネートに似た素材を使っているのかそれによって戦闘で受けるダメージを受け流すことに成功してるんだなさらに各パーツに熱が篭った場合のファンもこれまた凄いこんなに鋼鉄感があるのに何と言う通気性!そして……なんだ!?これは!!まさか…焼却砲か!!?なんっっってことだ!!!焼却砲を身体に備え付けてあるとか!!!ジェノス君、君はロマンの塊か!!!掌を焼却砲として使用しているにも関わらず甲の部分は打撃特化するよう配慮されたカバーパーツなんて臨機応変なスタイルを持ち合わしているんだ君って奴は…!」

「せ、先生!!」

「あー聞かなくていい、いい。興奮状態で自分でも何口走ってんのか理解できてないロボオタクだからなナマエは」

「そ、そうなので……いえ!俺はいつまでこうしていれば…!」

「もうちょいじゃね?」

「そんな適当な!」



正気を取り戻したナマエさんに解放されるのにかかった時間はジャスト15分
その間ずっと全身を撫で回されていたせいで、今もナマエさんの手が体中を這い回っているような擬似感覚に襲われている。おかしい、サイボーグの体なのに擬似感覚なんて……いや、あるのか?


「本当にごめんなジェノス君…つい…本物のサイボーグが目の前にいたもんだから……あ、サイタマ これ土産のイカ焼き。食おう」

「おーいいな。ジェノスー酒入れてきてくれー」

「は、はい!」


まあいい、さっきのことは忘れよう。早くお酒を持って行って、ナマエさんから昔の先生の話を聞かせてもらって、先生の強さの秘密を探らせてもらいたい。


「サイタマー、俺聞いてないぞサイボーグの弟子取ったとかー。いいなー、羨ましいーなー」

「そうかぁ?」

「さっき買って来たゴルディオンガーXのプラモやるからジェノス君と交換してくんね?」

「おーいいぞ プラモって売るとどんだけするもんなんだ?」

「駄目ですからね先生!!」

「えー、嫌なのかジェノス君〜俺絶対君のこと可愛がるぜ? ショーケースに入れて毎日1回埃は落とすし必要ならカラーリングだって変えるしなんなら光沢入れも…」

「? ??」

「ロボオタの言うことは無視しとけ、ジェノス」

「は、はい…??」