一撃 | ナノ
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
あはは、うふふ。


!64万企画小説作品


----------


「たのもー!!」

宇宙船の扉が一枚弾けとんだ。

『いや"たのもー!"じゃない! 今すぐ右側の通路から出て帰りなさい!あと壊した扉は元通り直してから!』
「断る! ボロスはどこ?ボロス!ボロース!わたし今日こそあなたと……」

「うるさい」

「ぶっ!!」



暗黒盗賊団が所有する宇宙船に、また一つ不細工なオブジェが生まれた。

しかしそれではボロス様の威厳を保つ際の妨げになるからと、ゲリュガンシュプがそのオブジェもどきを回収する。頭を引っこ抜く際に「あだだだだだだもげるもげるもげちゃう!」と聞こえたので余計に力を込めて引っこ抜いた。オブジェは「痛いってば!!」と逆ギレのように憤慨し、ゲリュガンシュプの触手を三本まとめて踏み潰す。ぎゃあああ腐っても戦闘能力の高い宇宙人民族めえええ!



『ボ、ボロス様〜今日こそあの小娘の息の根を止めてはいただけませんか〜?』
「…………いや、」

「いいえそれは出来ないわよゲリ!何せ私とボロスは"運命の恋人同士"なんだからね!」

「ああーもうやだこのアイタタな子が会話に入って来るのー。あと誰がゲリだ。変なトコロを略すな!」


宇宙船の通路を跨ぐように通せんぼしているナマエのせいで、たまたま、偶然、通りかかっただけのボロス様が通れなくて困っているだろうが。
だがこのアイタタタな子は依然として胸を張ったまま偉そうに


「さあボロス!旅立つ前に占い師が言った二つの予言を言ってみて!このゲリに教えてやって!」
『いやもう何千回と聞いて…!』

「…一つ、遠く離れた宇宙の惑星に俺と対等に戦える者が存在している」

『ボロス様ー!?』
「うんうん、いいわね。はい!じゃあ最後の一つ!一番重要なの!!」

「……………二つ、"ナマエ"という女を生涯侍らせておくべし大吉……」

「はいそうよねー!わー!何回聞いても私のこの戦乙女心にキュンキュン来るよ、げ、ん…!」
『二つ目が適当すぎるんですよその予言!あの占い師絶対インチキで…』
「ゲリは黙ってて」
『分かりました分かりましたから触手踏まないでください』


以上のことからこの女、とてもでかい顔でこの宇宙船とボロス様の隣を闊歩するのである。
何度ボロス様に手酷く、すげなく扱われようがお構いなしだ。
しかしボロス様もボロス様である。上記のようにナマエが喧しく騒いでいると一発食らわせはするが、基本的に甘やかしている節がある。
この宇宙船の中で一番よい部屋をナマエの居住区として割り当ててやっていることもそうだ。煩わしいのなら殺してしまえばいいのに、今も尚占い師の予言を信じているのか、手元に置き続ける。だめだ、ボロス様とナマエが結婚する日も秒読みなのか、どうしよう…!!


「ふふ、今日はボロスの口から予言を復唱されて気分がいいわ! 満足したし、じゃあ今日は部屋に帰る!また明日も突撃しに来るからね、ボロス!」

「………風邪は引くなよ」

「やだもうボロス超優しい!超好き!」

『うおおおもう来るなあああ!』


念動力で飛ばした石礫を最初に壊した扉を盾にすることで防ぎ、「よいしょ」の掛け声と共にキッチリと直してナマエは帰って行った。


『相変わらず恐ろしい女です………』
「……だがまああれはあれで……」
『えぇっ!?な、なんですかボロス様!?』
「……………面白い女だ」


いま別に何と言いかけようとしてたんですかボロス様!!!