一撃 | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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あなたのヒロインに立候補してます


!会話文のみ

………………



「ねぇ。料理が上手くて掃除も大好きで気配り上手な上に話上手の聞き上手でお裁縫も得意だし計算も速いしパソコンの扱いにも長けてるし怪我の手当ても得意だしオタク趣味にも理解あるし昔から一途な顔面偏差値上の下のパーフェクト幼馴染系ヒロインな私の想いに何年も応えないままずっと放置してるくせにいつも死のピンチ迎えて本当にあなたが死んだら残った私にどんなダメージ食らわせるか分かってるのよね?」


「…重々承知してます……」

「そう。分かってくれてるなら結構だわ。でもそんな事言っていつも私への連絡を怠るじゃない。毎回言ってるわよね?大小どんな怪人怪物と出会おうが戦いが終わった後には必ず私に無事を知らせる一報を入れなさいって。電話代たった数十円で済むような話よ?なのにどうして忘れるの?あら、今キングエンジン鳴らしてる場合ではないからね。ここには怪人じゃなくて私しかいないのよ?…ちょっと、どうしてさっきよりエンジンの音大きくなったのよ。理由如何によっては許さないからね。その傷四本に増やしましょうか」

「ごめん……」

「さっきから顔と口は殊勝なんだけどどうして私の話を聞きながらずっと目がゲームのパッケージに向いているの?『ドキメキ☆MEMORIAL』なんて安直なネーミングセンスのゲームの中にあなた好みのヒロインがいるって言うわけ、現実にこんな完璧なヒロイン役がいるって言うのに?そんなのおかしいわ。バーチャルの中で嫁を作ったってその嫁はあなたに料理も作ってあげないしお風呂だって沸かしてあげないし布団だって敷いてあげないのよ。その点私ならその三つにプラスして髭だって剃ってあげるし髪の毛だってきっちり整えてあげるのに。さぁ答えなさい。こんな私のどこに不満があるって言うのかな?」

「ありません……」

「そうでしょうとも。ヒーローの条件である一つは『ヒロインがいること』も含まれていると思うわ。その点で言えばあなたは他のヒーローよりも勝ってると言えるわね。私、あなたの役に立てるならどんな役回りが回って来ることもやぶさかではないから。じゃあ晩御飯作るわね。お客様も一緒に食べて行く?そう。じゃあキッチン借りるからねキンちゃん」










「………なんてーか、すごくめんどくさい彼女だな…」
「あれはあれで可愛いから………いや待って彼女じゃないからね!?」
「あっ、そう…いやキングのシュミにどうこう言うつもりはねぇけどさ」
「…サイタマ氏、画面ちゃんと見ないと勝っちゃうよ」
「はぁ!?ちょっと待て!タンマ!」