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はじまり


船に長時間揺られた俺は波止場に下りた時もグロッキーな状態だった。
それはアカデミアの校長室に呼ばれた時も同じで、鮫島校長からの挨拶も話半分にしか聞けない。
曖昧に返事をする俺に言った「赤い帽子がオシリスレッドの寮風とマッチしていますねぇ」の言葉には思わず「ありがとうございます」と言った。ようやく君の元気な声が聞けたと笑われた。
三ヵ月後にあるタッグデュエルの大会の説明を簡単にされて、後は教室に行ってクロノスなる先生から詳しいことを聞いてくれと促される。
行けば分かると言われて案内役も付けてくれなくて、迷いながらもどうにか教室らしき場所に飛び込むといきなり人とぶち当たった。
可笑しな喋り方の金髪先生 それがクロノス先生だったのだけど、もっと大きな出会いはこの後すぐにやって来る。







「――よっしゃぁ! 一番乗りだ…ぁ、あっ!?」

「――!?」



いてェ。扉の前で話をしていた俺が悪かったんだけど、教室に飛び込んで来た生徒に思い切り背中に体当たりをかまされた。当たってきた本人と当たられた俺はそのまま前方に縺れるようにして倒れこむ。「いつっ!」顔面から打った。鼻筋を。転校初日から鼻血は披露したくない。「わりぃ!大丈夫か!?」背中に乗っかっていた奴が退いてくれてようやく重みが無くなった。


「何やっているノーネ、ドロップアウトボーイ!!」
「って、うわぁっ!クロノス先生もいたの!?」
「ずっといたノーネ!! 転校生に何やらかしてるノーネ!」
「えっ…、あぁー! オマエが転入生か!」
「ま、まぁ…」



茶色い髪に茶色の眼 人懐っこそうな表情の溌剌とした生徒が俺に手を差し伸べる。

「俺は遊城十代! よろしくな!」

急にぶつかったりしてごめんな?

別に怪我もしていないし気にしなくても良いのに、遊城十代と名乗った生徒は今度は気遣わしげな表情を浮かべた。
その手を取って立ち上がり、少しずれた帽子を被りなおす。

これから三年間、お世話になるやも知れないクラスメートに、俺も笑顔で返す。



「おれは、大浪小波 よろしく」